「デジタルトランスフォーメーション(DX)」「オープンイノベーション」「第4次産業革命」「Society5.0」――。
B2Bビジネスの周辺で、毎日のように新しい言葉を耳にし、その意味を考える場面が増えました。新しい言葉が次々に生まれるのは、技術の高度化や社会環境の変化が急速に進んでいるからといえるでしょう。
多くの変化は、B2B企業のビジネスにも影響を及ぼしています。例えば多くの産業で「所有モデル」に加えて、「利用モデル」の導入が始まっています。「売り切りモデル」から、サービスや商品の利用に応じて料金を支払う「サブスクリプションモデル」への移行の始まりともいえる動きです。
新しいモデルが広がると、その下で新しい事業や産業が生まれます。こうした変化は、B2B企業と外部企業とのコミュニケーションにも影響を及ぼしました。
例えばBtoBマーケティングに携わる方は最近、「何か一緒にできないですか」という会話をする機会が増えたのではないでしょうか。他社と協力しながら何ができるかという議論を始めている例もあるでしょう。営業の現場でも、カタログに記載した情報を説明する時間よりも、「新しいビジネス」や「新しい可能性」を議論する時間が増えたという話を耳にしています。
このように、外部の企業とのコミュニケーションの内容と質が変わっているのです。
「営業先」「取引先」から「パートナー」へ
分かりやすい変化として、「営業先」「取引先」と呼んでいた相手を、「パートナー」と呼ぶ機会が増えたことがあります。これは相手企業にふさわしい商品やサービスを提案するには、その企業から直接、具体的かつ十分な情報を得る必要があるからです。
ほとんどの企業は新しいビジネスを非公開で検討します。公開されていない情報までを得られないと、誰でも考えられる通り一遍のものしか提案できません。
意味ある提案をするためには、相手企業と実のある会話ができなくてはなりません。一度モノを売って終わり、取引したら終わりという「営業先」「取引先」の関係ではなく、継続的に情報を交換できる「パートナー」としての関係を築かなくてはなりません。
さらに、相手企業の新ビジネスの成長を自社の成長に結び付けたいという思惑もあるでしょう。B2Cの「CLTV(Customer Life Time Value)」という考えがB2B領域にも広まり、CustomerをBusiness Partnerに置き換えて、パートナーから得られる価値を最大化しようとするのです。