企業がソーシャルメディアをマーケティング活動に組み込んでいく際、自分の周囲にいる人の消費行動に影響を及ぼす「インフルエンサー」の存在が、非常に重要な意味を持っている。企業が伝えたい情報をインフルエンサーが拾い上げ、ソーシャルメディア上に広めてくれることで、施策のパフォーマンスが格段に変わってくるからだ。
そのため企業はインフルエンサーと言える人たちと接点を多く持つために、様々な活動を展開している。そこに金品の授受が発生するケースも決して少なくはない。時にはそれがエスカレートし、「ステルスマーケティング」(巧妙に隠されたマーケティング手法のことで“ステマ”ともいう。詳しくは関連記事:ステマに始まりステマに終わった2012年)などの問題に発展することもある。
もちろんそうしたことが起こらぬよう、一定のガイドラインが存在している。特に米国では、早くからFTC(米国連邦取引委員会)が「エンドースメントガイド」を公開している。エンドースメントとは、金品などの対価をもって自社、もしくは自社製品を推奨してもらう活動のこと。こう見なされる行為は細かく定義された上で、「企業とインフルエンサーの関係性の明示」など、必要なアクションが細かく規定されている(関連記事:「『いいね!』ボタンを押させる行為を米国連邦取引委員会が明確に規定」)。
では、インフルエンサーと呼ばれる人たちは、企業との関係性についてどういった意識を持っているのだろう。米GroupHigh社が米国内の約5000人のインフルエンサーに実施した「Influencer Marketing Report」という調査から、その実態が垣間見える。
調査によると、「約90%のインフルエンサーは、現金もしくは物品の提供を対価に記事を書く」としており、さらに全体の半分以上(55%)に相当するインフルエンサーは、「自分の“メディアキット(媒体資料)”を用意し、必要に応じて企業に提供している」という。
メディアキットを持っていないインフルエンサーも、何らかの形で、自分たちのブログなどのパフォーマンスを企業に対して公表している。例えば「ブログのアクセスログを必要に応じて開示する(13%)」などだ。