日本ではほとんど語られてはいないが、FTC(米国連邦取引委員会)が先週、ソーシャルメディアにおける「エンドースメント(endorsement)」について、2009年に発表した「エンドースメントガイド」を一部改訂する形で改めてその定義を明確にした。その内容を手短に記すと「Facebookページ(および投稿)に対して“いいね!”ボタンを押させる行為や、Pinterestなどに自社製品に関する画像や動画を投稿してもらうような行為も“エンドースメント”と解釈される」というものだ。

 この「エンドースメント」という言葉は日本ではあまり耳にしないが、マーケティング活動の中では、例えば「エンドースメント契約」といったように、プロスポーツ選手やアーティストなどに対する契約形態の一つとして使われることがある。企業が「エンドーサー(endorser)」と呼ばれる選手やアーティストらに対して、肖像権の利用や商品化権などの独占契約を結び、その後、商品販売に反映させるような活動である。

 しかし、今回FTCが再定義した「エンドースメント」はもっと幅が広い。どちらかと言うと、その単語のもともとの意味である「何か、もしくは誰かに賛同、または支持を表明する行為」に近いものだ。つまり企業が、著名人に関わらず、消費者全般に対して行うマーケティング活動として「自社、もしくは自社製品を推奨してもらうような活動」も含まれる。

 こういった「自社、もしくは自社製品を推奨してもらうような活動」に対して、FTCは以前から厳しいスタンスを表明してきた。もともとFTCは、「Guides Concerning the Use of Endorsements and Testimonials in Advertising(広告に関するガイドライン)」で、広告主と推奨者の間で、例えば金品の授受といった、消費者が想定していないつながりがある場合には、その旨を明示すべきであるという原則を以前から設けていた。2009年には、このガイドラインに新たに事例を追加する形で「例えばブロガーが金銭を受け取って商品を勧めるレビューを書いた場合、それは推奨行為と見なされ、その商品の販売者との関係を開示する必要がある」としている。