経験の浅い担当者に作業方法を「密着指導」するのは、ウエアラブル端末だけではない。安価で使い慣れたスマートフォンやタブレットも強力な援軍になる。

富士通ITプロダクツ
腕に巻いたiPodが手順を示す

 富士通のサーバーやストレージを製造する富士通ITプロダクツ(石川県かほく市)。本社工場では作業者が腕に巻き付けた端末を操作しながら、大型サーバーのフレームにパーツを取り付けている。

 「新型のウエアラブル端末か」と思いきや、実はこの端末、米アップル「iPod touch」とベルトを組み合わせたもの。作業手順書を一元管理する「作業ナビゲーションシステム」のサーバーと、iPod touchを無線LANで接続し、作業者がiPod touchの画面をタッチするたびに、組み立て手順が表示される。画面の右上をタッチすると次の手順に進み、左上をタッチすると1つ前の手順に戻るので、作業をしながら簡単に参照できる。直感的に使えて、しかも安いというiPod touchの本領発揮だ。

●iPod touchに表示した作業手順を参照しながら組み立てや検査などを実施
●iPod touchに表示した作業手順を参照しながら組み立てや検査などを実施
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検査装置と連動、抜け漏れなくす

 富士通ITプロダクツが生産するサーバーやストレージの仕様は、顧客の注文ごとに変わる。以前は、組み立てを担当する作業者が仕様書をにらみながら、全ての手順が印刷された分厚い作業手順書のページをめくって不要な手順のページに「×」マークを入れていた。手順がほぼ頭に入っているベテランはともかく、経験の浅い作業者は手順書を探すだけで時間がかかっていた。

 これに対し、作業ナビゲーションシステムは、これから組み立てる製品の仕様に合わせて作業の手順を自動的に組み替える。例えばオプションの外部装置が指定されていれば、その取り付け作業を含む手順書を自動的に生成してiPod touchに送る。

 このほか、タブレットを使って稼働試験を自動化する機能もある。これまでは作業者が製品と各種検査装置を接続して、所定の検査を実施していた。検査装置を選び接続する手間も、経験の浅い作業者には負担が重い。検査実施の抜け漏れを起こすリスクもあった。

 作業ナビゲーションシステムの導入以降、この作業も大きく変わった。作業者がタブレットに表示された手順で検査装置を接続し、画面をタッチすれば自動的に検査が始まる。結果が正常であれば、続けて次の手順が画面に表示される。

 「以前は2人1組で読み合わせながら作業しても人的ミスを防げなかったが、いまは1人でも正確に作業できる」と、小林博ビジネス推進センター専任部長は話す。

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