かつてはベテランと若手のコミュニケーションを通じて引き継がれてきた現場の技能。ITが進歩した現在、ベテランのノウハウはシステムに組み込まれ、若手はシステムを通じて先輩の経験を受け継ぐようになった。技能伝承の方法が日々進歩するなか、最近特に注目を集めるのがウエアラブル端末を使った方法だ。視界いっぱいに広がるノウハウは、第三者にはのぞき見ることすらできない。まさに自分自身のノウハウとして“身に付ける”ことが可能になる。新たな技能伝承の試みを探る。
ウエアラブル端末、大活躍!---目次
目次
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対話とデータで知見をあぶり出す
コンテンツ編
技能伝承のツールは着実に進化している。では伝える内容はどうか。形式知化しにくいノウハウを適切に抽出して分かりやすく受け渡す、コンテンツ作りに知恵を絞る事例に学ぼう。
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勘と経験を数値化、障害を予知
ビッグデータ活用編
製造機器などの微妙な変化を察知し、異常に至る前に防止する。経験を積んだ作業者の「暗黙知」はこれまで“背中を見せて”教えるしかなかった。しかしビッグデータの活用でそれを「形式知」に変え、若手が学べる環境が整ってきた。
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視界に広がる先輩の指導
ウエアラブル編
製造や物流の現場で、技能伝承のやり方が大きく変革している。ウエアラブル端末が登場し、作業担当者はあらゆる情報を、必要なタイミングで、その場で受け取れるようになった。「時間」と「場所」に縛られない技能伝承が現実になりつつある。
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「クルマに乗らない設計者」が新車生む
技能伝承がビジネスを拓く
欧米の販売が好調で、2015年3月期も増収増益を見込む日産自動車。その屋台骨を支える拠点がベトナム・ハノイ市にある日産テクノベトナム社だ。クルマの設計、開発を担う日産テクノの子会社として2001年に設立された。労務費が日本の4分の1というコストメリットに加え、平均年齢28歳の社員が着々と技術力を身…