BtoB セールス&マーケティングサミット 冬 in Tokyoの最後は、BtoBマーケティングのプロフェッショナルが現場のマーケティング担当者の悩みに答えていくパネルディスカッションとなった。2BC代表取締役の尾花淳氏と博報堂コンサルティングシニアマネジャーの清水慶尚氏が、業種ごとの特性を意識しながら、最適な手法や具体的な解決策の提案を試みた。

<パネリスト>
2BC 代表取締役 尾花淳氏
博報堂コンサルティング シニアマネジャー 清水慶尚氏

<司会>
ITproマーケティング 松本敏明
パネルディスカッション2に登壇した尾花氏(中央)と清水氏(右)
パネルディスカッション2に登壇した尾花氏(中央)と清水氏(右)
(撮影:都築雅人)
[画像のクリックで拡大表示]

最初の質問はIT関連のSIerから。「これまで大手企業向けの受託開発が事業の中心だった会社が、初めてシステム運用支援ツールを開発した。新製品は大企業だけでなく中小企業にも売れるのではないかと思っているが、これまでアプローチしていない中小企業層にどうやってマーケティングしていくべきか」

 この質問に対しまず尾花氏は、この会社には「新しい製品を売るというハードル」「新しい市場に出るというハードル」という二つのハードルがあると指摘。その上で「どちらか一つのハードルを先にクリアすべき。まずは“新しい製品を既存の顧客(大企業)に売る”ところから始めたほうがいい」とアドバイスした。

2BC代表取締役の尾花淳氏
2BC代表取締役の尾花淳氏
(撮影:都築雅人)
[画像のクリックで拡大表示]

 清水氏は「売り先に大手と中小企業がるときに、その組織構成や購買プロセスが同じだろうかと考えるべき。売り物がシステム運用支援ツールなら、顧客の購入動機はコストカットかパフォーマンス向上のどちらかであり、動機によって購入プロセスの開始が異なるはず。つまりマーケティングプロセスの開始も変わってくる」と指摘。これまでとは別の“カスタマジャーニー”を顧客目線で描く必要があると説いた。

 清水氏は「カスタマジャーニーを描く上で、買い手の商材に対するリテラシーを横軸(左側ほどモノの良し悪しを評価できる)に、買い手にとっての事業インパクト(費用の負担が大きいかあるいは、業務遂行上それが必要か)を縦軸に取ってマトリクスを描くと評価しやすくなる」という分析手法を示した。システム運用支援ツールが、このマトリクスのどの象限に位置付けられるのか、顧客の要件を定義する必要があると解説した。

二つめの質問は新人研修などの受託業務やIT資格やロジカルシンキングなど個別テーマでの公開研修を提供している会社から。「受託型サービスは営業による個別売りで、ターゲット企業は限られている。公開型研修はWebサイトで申し込みを受け付けており、現在はリスティング広告程度。公開型研修のパンフレットを企業の人事部に置いてきたり、IT資格のITベンダー側サイトの流入によってビジネスとして成り立っているが、営業生産性を高めたい。リピート受講などを伸ばせる余地があると感じているが、具体的な手が打てていない」

 このケースでは意思決定者を最初に確認しておく必要がある。リピートを取りに行く際に、研修の受講の意思決定を下すのが誰かを考えるべき。つまり、人事担当者なのか経営者なのか、セミナーの受講者本人なのか。尾花氏は「誰を対象として取りにいくかで攻め方はまるで変わってくる」と語る。リピート受講を増やすなら、初級、中級、上級というように、次があるというプロダクト設計をすることも必要だろうとした。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。