オフィスのレイアウト、席順などで、職場の快適さ、仕事のしやすさが大きく変わることは、多くの人が実感したことがあるはずだ。コーヒーサーバー近く(古くならタバコ部屋)で交わされる会話から新しいアイデアが生まれた、という人もいるだろう。だが、こういった“職場環境”は重要だとわかっていても、これまでは効果を測定する手立てがなかった。できることは、面談をしたり、アンケートを取ることくらいだ。

 米ソシオメトリック・ソリューションズのベン・ウェイバー社長兼CEOは、「近い将来、ピープル・アナリティクスという手法で社員の行動を解析することによって、最適な働き方、オフィスレイアウトが見つけられるようになる。その基となるデータは最新のセンサー技術から得られるビッグデータだ」という。

 ウェイバー氏は、MITメディアラボで博士号を取得した後、センサー技術を使って組織の働き方を分析する経営コンサルティングサービス会社である同社を立ち上げた。

 同氏は、今年5月に『職場の人間科学 ビックデータで考える「理想の働き方」』(早川書房)を出版した。今回は、日本語訳の出版に合わせて来日した同氏に、最新のピープル・アナリティクスについて話を聞いた。

(聞き手は小野口哲)

“データ”から見えてくる最適な職場や働き方

そもそもですが、ピープル・アナリティクスとはどういったものですか。

ウェイバー:クリエイティブな人材などを生み出す職場のあり方や、生産的で満足度の高い働き方を“データ”を使って明らかにしようというものです。

 これまで人間は“観察”することで、他の人とどう接すればいいかや生産性や満足度をどう上げればいいかを推測していました。ところが、今、職場での社員の行動に関して得られるデータは急増しています。メールの記録やウェブの閲覧記録などももちろんですが、最近はカード型やウエアラブル型のセンサー技術が急速に進化しています。最新のセンサー技術なら、誰と誰とがフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションをとったかや、話し方、動き、位置に関する情報も得られるのです。

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