「『拡張』という、分析のやり方を変える第三の波がやってきた」――。米ガートナーでビジネスアナリティクスとデータサイエンスを担当するカーリー・アイディーン氏(シニアディレクター、アナリスト)はこう指摘する。
一つめの波とはデータウエアハウスに蓄積したデータを基に、IT部門が標準的な分析レポートを作って提供する状況、二つめの波とはセルフサービス型のBI(Business Intelligence)を使って、現場の担当者が独自に分析をする状況を指している。では第三の波とアイディーン氏が指摘する「分析の拡張」とはどのようなものなのか。
データそのものと活用する人を「拡張」
近年、ビジネス環境が複雑化している中で、ビジネスの現場ではデータ分析の専門家でなくても多様な分析/解析結果を読み解く能力を求められようになっている。その一方で扱うデータ量は増え、解析処理の規模が大きくなっており、従来のマニュアル型の対応では限界がある。データの細部を分析する処理を自動化するなど、効率化を図らなくてはならない。
最近、BIツールを提供するベンダーが「拡張アナリティクス」という機能を提供するようになっている。これはデータ解析のプロセスを自動化するもので、分析対象となるデータそのものとデータにアクセスする人を「拡張」できるようにする技術の総称である。
「拡張アナリティクスは、『データの前処理』『データのパターン検出』『共有と運用』という、三つの要素で構成されている」とアイディーン氏は話す(図1)。