人工知能(AI)の実装は、複雑で莫大な設備投資がかかるためクラウドコンピューティングの活用が一つの選択肢となる。ガートナーが2018年4月に開催したイベントで「人工知能(機械学習とディープ・ラーニング)のためのクラウド戦略の策定」というテーマで講演したガートナー リサーチ ディレクター チラグ・デカテ氏に、企業が知っておくべきAIの実装の考え方を聞いた。
(聞き手は松本 敏明=日経 xTECH Active)
まずAI(人工知能)をクラウドで使う企業の現状について聞きたい。
CIO(最高情報責任者)3000人を対象にガートナーが2018年に実施した調査では、「AIを拡大して適用している」という答えは4%しか存在せず、残りはまだ配備していない状況だった。約半数のCIOはAIを実装する計画があることを示唆したが、残りの半数は計画もないと答えた。
私は、AIへの対策を考えていない企業は組織的な失敗のリスクを抱えていると感じている。「2020年までにAIの適用に失敗した組織の30%は、運営/財務面で立ち行かなくなる」と予測している。
では、ユーザー企業はどこから始めればよいのだろう。
AIの活用に当たって、自社のスキルセットが不十分と考えている企業が多い。特に「社内に存在する、複数のシステムをまとめる」ために必要なスキルセットが十分に育っていないと認識している。
データの扱いという視点から見ると、IT部門は複雑で多様な環境に対応しなくてはならない。複数の種類のデータベースやフラットファイルがあり、非構造型のデータも存在している。