ニューヨークに拠点を置くBoxedが、米コストコ・ホールセールなどの会員制卸売りの市場を席巻しようとしている。2013年に創業したBoxedは、会員費無料で日用品の大量購入を実現するサービス。米ウォルマートや米アマゾン・ドット・コムが、小売りの王座をかけて激しい競争を繰り広げる中、会員制卸売りの市場でしたたかに王座を狙う。

 Boxedを支えるのは、80年代以降に生まれたミレニアル世代。車を持たない世代に対して、コストコで購入できるような日用品をスマートフォンで購入したいという願いを叶えた。

 Boxedの創業者チェ・ファンCEOは、1981年生まれ。大学を卒業したのち、ゲーム会社「Astro App Studios」を創業、米ジンガに売却したのちにBoxedを創業した。米アマゾン・ドット・コムなど並み居るECの巨人に果敢に攻めていく姿勢だけがBoxedの特徴ではない。ファンCEOは、社員の子供の大学の学費を全額個人資産でまかなうという異例の経営者でもある。CEOのファン氏に話を聞いた。

(聞き手は染原 睦美=日経 xTECH/日経コンピュータ)

Boxedの創業者チェ・ファンCEO
Boxedの創業者チェ・ファンCEO
(画像提供:Boxed、以下同じ)
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どんなサービスを提供しているのでしょうか

 会員費が無料で、日用品を大量購入できるECサイトを運営しています。

米アマゾン・ドット・コムのサービスとの違いは。

 大きな違いはコストコのようなホールセールであること。トイレットペーパーなら36ロールから、ペーパータオルは24ロールといった単位で販売します。もう1つは、アイテム数を1600程度に絞っていること。この数にすべてのバイイングパワーを集中させることで、価格を安く抑えられます。例えばアマゾンの場合、ポップコーン1つとっても数千種類あると思いますが、我々は2種類しか扱いません。そうすることで、製造メーカーは私たちにより安い価格で提供できる。私たちがその分大量に売りさばけるからです。アマゾンに比べたときにアイテム単体でみれば、おおよそ60%程度安いといえるでしょう。

オンライン版コストコともいえるBoxed。商品を「かたまり」で売ることで、価格を安く抑える
オンライン版コストコともいえるBoxed。商品を「かたまり」で売ることで、価格を安く抑える
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 もう1つは配送料について効率的に運用している点です。Boxedを使い始める際に、利用者に郵便番号を聞きます。利用者が購入できるのは、近くの倉庫にある商品のみ。テキサスに住んでいる利用者はカリフォルニアの倉庫の在庫は見られない。現在、全米に4つのフルフィルメントセンターを備えています。

 さらに僕らの成功の秘訣は、1回あたりの購入平均が10製品、100ドル程度ということ。小売店での一番のコストは、店舗の運営維持コストですが、ECの場合は配送料です。配送料をどう最小化するかというのが問題なのです。アマゾンの場合、4ドルの商品を1つ頼んでも、2つ頼んでも、ほぼ同じ配送料がかかる。私たちの場合は大量購入であるため、1つあたりのコストが最小化できているのです。

 配送にかかる日数はアマゾンプライムの会員向けサービスと同様に、2日以内。50%の利用者は、1日で届く。アマゾンはこれを有料で会員サービスとして提供していますが、私たちは無料で当該日数でお届けしています。これらがアマゾンとの大きな違いではないでしょうか。

 最近ではトイレットペーパーなどの基本的な商品はPB(プライベートブランド)でまかなっており、売り上げや利益率向上に大きく貢献しています。

全米に4カ所のフルフィルメントセンターを置く。自動化やロボットなどの技術開発にも積極的に投資する
全米に4カ所のフルフィルメントセンターを置く。自動化やロボットなどの技術開発にも積極的に投資する
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