日本HPは機械学習技術などを使ってPCやスマートフォンの故障予兆やセキュリティーリスクを事前に検出する、法人向けの予測分析型デバイス管理サービス「HP TechPulse プロアクティブ管理(以下、TechPulse)」を2018年12月13日に拡張した。従来、デバイスの稼働状況は日本HPしか把握できなかったが、クラウド経由でユーザー企業や同社の販売パートナーも確認可能にした。九嶋俊一専務執行役員パーソナルシステムズ事業統括にサービスの特徴や、ユーザー企業にとっての利点を聞いた。(聞き手は井原 敏宏=日経 xTECH/日経クラウドファースト)
TechPulseではどのような情報を収集・分析しているのか。
PCやスマートフォンにエージェントをインストールし、移動距離やデバイスとソフトウエアの処理性能などの稼働状況データをクラウド上に収集する。稼働状況データを基に、次に買い替えるべき機器の優先順位付けや、ユーザーの利用状況に応じた適切な推奨構成といった分析結果を提示する。
機械学習技術を使った予測分析により、デバイスの故障予兆やセキュリティーリスクを発見し、ユーザーの業務に影響を及ぼす前に対処可能にする。故障前に計画的に部品の交換や修理ができるので、突然の故障による業務中断などのリスクを減らせる。セキュリティーリスクについても、事前にセキュリティーポリシーを変更して危険を回避しやすくする。
サービス拡張によるユーザー企業にとっての利点は何か。
より多くのユーザーにTechPulseを通じた予防保守対応を迅速に提供できるのが最大の利点だ。これまでデバイスの稼働状況は当社しか分からなかった。当社を通じての予防保守対応だけでは多数のユーザーのデバイス監視は難しい。何かアラートがあった際は当社から顧客、もしくは販売パートナー経由で顧客への連絡が必要だった。
今回の拡張でユーザー企業や当社の販売パートナーが直接稼働状況を把握できる。IT部門が充実している大企業であれば、自社で各部門のデバイス稼働状況を一元的に監視できる。中小企業もパートナーを通じてより迅速な保守対応を受けられる。
他社と比べてもTechPulseのようなデバイス管理サービスをマルチOS対応として、販売パートナーが活用できる形で提供しているベンダーはほかにないと考えている。機械学習技術を使った予測分析に加え、ハードディスクドライブやバッテリーの予防交換まで対応するのも差別化要因だ。
その他の機能強化や今後の販売戦略は。
オプションでSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)型のITサービスマネジメントである「ServiceNow」とのAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)連携機能も追加した。TechPulseが生成するインシデント情報をServiceNowで管理できる。
今後の販売戦略としてはTechPulseを使って保守サービスを展開する販売パートナーを増やす。まずは20社に増やす計画だ。