「IT部門擁護派」であるガートナー ジャパンの長谷島眞時氏と、「極言暴論」で「IT部門不要論」を公言する木村岳史の対談をさらに続ける。第1回では「『IT部門限界説』は最悪の暴論」とする長谷島氏が論陣を張った。今回は木村が「CIO不要論」を主張し、元ソニーCIO(最高情報責任者)の長谷島氏を論破しようと試みたが……。

(構成は清嶋 直樹=日経コンピュータ


日経コンピュータ編集委員の木村岳史
日経コンピュータ編集委員の木村岳史
(撮影:陶山 勉)
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木村:IT部門が不要かどうかの議論と合わせて、CIOのあり方について考えたい。私は「CIO不要論」を唱えている。ここは長谷島さんと最も意見が対立する論点かもしれない。

 既に長谷島さんの持論は理解しているし、それを踏まえたうえでの私の意見を「極言暴論」で何度か書いている(関連記事:元ソニーCIOと対決前夜! - 経営者の間で台頭するCIO不要論)。

 連載の繰り返しにはなるが、改めて私の意見を。ITが経営課題となるのは、業務改革や新規ビジネスのためのシステム開発や刷新、つまり経営戦略上の課題として認識される場合に限られる。そういう経営課題があるなら、CIOを置くのはいいだろう。

 だが、全ての企業で常設ポストとする必要があるだろうか。システム開発や刷新がない時期には、CIOの仕事はIT部門の統括者であり、IT部門にはシステム運用しか仕事がない。システム運用自体は経営課題にはなり得ない。CIOという役員を任命して経営会議に参加させるのは無意味。COO(最高執行責任者)やCFO(最高財務責任者)のような他の役員に兼ねさせれば十分ではないか。それが私の考えだ。

ガートナー ジャパンのエグゼクティブパートナーの長谷島眞時氏
ガートナー ジャパンのエグゼクティブパートナーの長谷島眞時氏
(撮影:陶山 勉)
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長谷島:私の考えは違う。CIOにしかできない役割がある限り、CIOが不要だという意見には納得がいかない(関連記事:「CIO不要論」こそ不要な議論 アーキテクチャーの守護者は必須)。