元ソニーCIO(最高情報責任者)で、現在ガートナー ジャパンのエグゼクティブパートナーを務める長谷島眞時氏の「IT部門への“極言暴論”を斬る」を7回にわたって掲載した。日経コンピュータ編集委員の木村岳史に挑戦状を突きつけ、「極言暴論」への反論を展開したものだ。

 さらに議論を深めるため、両者の対談を企画した。“直接対決”の模様をお伝えする。

(構成は清嶋 直樹=日経コンピュータ


ガートナー ジャパンのエグゼクティブパートナーの長谷島眞時氏
ガートナー ジャパンのエグゼクティブパートナーの長谷島眞時氏
(撮影:陶山 勉)
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日経コンピュータ編集委員の木村岳史
日経コンピュータ編集委員の木村岳史
(撮影:陶山 勉)
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木村「IT部門限界説」の議論に入る前に、長谷島さんはIT部門を取り巻く環境の変化をどう見ているか。

長谷島:企業の中でコンピュータや今で言うITが活用され始めたのは、40年以上前。私がこの世界に入ったのはちょうど40年前だ。

 それから長い間、企業は内部業務プロセスのIT化やデジタル化を推進するという時代が長く続いた。40年間のうち、30年以上はそういう時期だと思う。

 この内部業務プロセスのデジタル化の取り組みは、会社によって大きな違いはない。どこの企業でも財務会計プロセスをデジタル化したり、調達・生産・受発注業務をデジタル化したり、という点では同じだ。金融機関なら、オンライン化の動きにはどこも同様に取り組んだ。やるべきことはどの企業でも同じで、向かうべき方向性ははっきりしていた。その仕事を忠実に実行してきたのがIT部門だ。