日本マイクロソフト(日本MS)が、法人向けクラウド型グループウエア「Office 365」の拡販攻勢をかけている。この市場は事実上、メールサービス「Gmail」を中核とする米グーグルの「Google Apps」とOffice 365の一騎打ちだ(関連記事:企業のベンダー別クラウド利用率、マイクロソフトとグーグルが一騎打ち)。個人向けでGmailの利便性が浸透しているために法人向けでも先行したGoogle Appsだが、Office 365が激しく追い上げる。

 日本MSの樋口泰行代表執行役社長はOffice 365を含む日本のクラウド事業の売上高を「今後、毎年3倍にする」と強気の見通しを語る(関連記事:日本MSがOffice 365など法人向けクラウドを国内提供へ、売上高3倍目指す)。日本MSの攻勢策の一つが、日本国内のデータセンターからのサービス提供。2014年12月16日に開始した。目的は、特定業種の掘り起こしである。

 「耐震性や電力供給などで最高水準の設備を用意した。金融・医療業界や官公庁など、日本にデータを置くことが要件となる新規顧客の獲得を進めたい」(平野拓也執行役専務マーケティング&オペレーションズ担当)。

ソニー生命や豊島区などが採用

 実際に各業界の大口顧客による採用決定が相次いでいる。日本MSによると、ソニー生命保険や東京都豊島区などが採用を決めたという(関連記事:日本MSが国内DCからOffice 365提供開始、ソニー生命などが採用)。

写真1●日本マイクロソフトが2014年12月16日の記者発表会で示した「日本データセンターの優位性」のスライド。応答時間に関する記述はない
写真1●日本マイクロソフトが2014年12月16日の記者発表会で示した「日本データセンターの優位性」のスライド。応答時間に関する記述はない
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 ちなみに、国内にデータセンターを置くことのメリットとして同社では、以前は応答時間が短いことも挙げていた。一般的には、物理的に近い場所にサーバーを置けばレスポンスは良くなる。ところが2014年12月に実施された記者発表会の説明資料にはその記述がなかった(写真1)。海底光ケーブルの拡充が進み、応答時間の優位性が薄れているためだと考えられる。