「光の道」実現に向けてソフトバンクが次の一手を打ってきた。地方の限られたエリアでサービスを提供する地域DSL事業者との共同戦線を組んだのである(関連記事)。

 ソフトバンクは2010年に「A案か、B案か」というフレーズでNTT東西のアクセス回線部門の分社化を訴えていた経緯がある(関連記事)。そして現在は、情報通信審議会で審議中の光ファイバー接続料について、ドライカッパー(未使用のメタル回線)並みの貸出料金を実現するよう、NTT東西に方式の変更を求めている。

 詳しい解説は関連記事に譲るが、簡単に説明すると1回線に最大8ユーザーを重畳(ちょうじょう)できる「シェアドアクセス型」の光アクセス回線を、「1回線ごとではなく、1ユーザー獲得するごとに1分岐単位の料金で貸し出せるように設備を共用すれば1400円台まで低料金できる」という主張である。

 この要求は、全国規模で事業を展開する通信事業者の中では、主にソフトバンクとイー・アクセスの2社が主張している。

 一方、NTT東西と競争関係にあるKDDIは、現行の料金で1回線を借りて複数ユーザーに共用してもらうことで「十分に参入できる」とし、1分岐単位の料金設定には反対の立場だ(関連記事)。また、自らNTT東西と同様にシェアドアクセス回線を敷設している電力系通信会社も「適正なコスト負担構造を歪める」として反対である(関連記事)。

 こうした状況の中、ソフトバンクと同様に1分岐単位の貸し出しを主張する陣営として、関西ブロードバンドをはじめとする地域DSL事業者らが現れた。地方にエリアを限定してサービス提供しているこうした事業者は2011年3月中にブロードバンド政策に対する提言を目的に「DSL事業者協議会」を発足させる計画である。

 そして当面、1分岐単位の貸し出し実現を優先して訴えていく予定だ。この協議会に全国でDSLサービスを提供しているソフトバンクBBも参加する。「事業モデルや、全国に低廉なブロードバンドを普及させたいという思いは同じ」(孫正義社長)として、歩調を合わせていくという。