写真1●電気通信事業部会と接続委員会の第一回合同公開ヒアリング
写真1●電気通信事業部会と接続委員会の第一回合同公開ヒアリング
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 総務省の情報通信行政・郵政行政審議会は2月22日、電気通信事業部会と接続委員会の合同公開ヒアリングを開催した。NTT東西が1月21日に申請した、2011年度以降の光ファイバー接続料(関連記事)について関係事業者・団体からの意見を聴取した。

 議論の中心となったのは、FTTHサービス用の光ファイバー回線の貸し出し方式。8分岐分をまとめて貸し出す現行方式に対して、8分岐分を複数の事業者で共用して、料金は1分岐単位に設定すべきかどうかという点である。NTT東西は今回の申請では1分岐単位の料金設定はしていない。

 ヒアリングで1分岐単位の貸し出しが必要と訴えたのは、ソフトバンク、イー・アクセス、関西ブロードバンド、全国消費者団体連絡会の4社・団体。一方、現行方式を前提に、設備投資のリスクを負う事業者同士の競争を進展させるべきとしたのがKDDI、ジュピターテレコム、ケイ・オプティコム、NTT東西の5社である。

 1分岐単位の料金設定については3年前の審議会でも議論した経緯がある。その時点の主張から今回立場を変えたのはKDDI。3年前は、NTT東西以外の事業者が参入できない地域では、1分岐単位の貸し出しも認めるべきと主張していた。それに対して今回は「実際に札幌や仙台、宇都宮、金沢などでは現行方式の回線を借りて参入できている。今後もエリアは広げていく予定」(田中孝司社長)と、設備ベースの競争を支持した。

 KDDIの宗旨替えについて、委員からはなぜ3年前と変わったのか質問が相次いだ。これに対し「やってみると分かるが、ユーザーは料金だけでなく速度も重視している。他事業者と設備を共用する方式が義務づけられてしまうと『ギガ得プラン』のようなフレッツ光に対して優位性のあるサービスで勝負できない。共用の料金が設定されても我々は使わない」(田中社長)と続けた。

 これに対してソフトバンクの孫正義社長は「1回線あたりのコストが平均化されれば1400円で貸し出せるはず。8本まとめて貸し出されたのではKDDIのような大手しか参入できず、不公平」と反論。従来から主張している、事業者間の設備共用による1分岐単位の料金設定の必要性を強く主張した。

 審議会は今回のヒアリングの内容と3月4日を締め切りとしている意見募集の内容を踏まえて議論を継続する方針。次回の委員会は3月5日に開催予定。諮問に対する答申は3月下旬前後となる見通しである。