米Microsoftは米国時間3月16日に,企業向け事業の推進について明らかにした。同社CEOのSteve Ballmer氏がニューヨークで500社以上の顧客企業を前に基調講演を行ったもので,同氏は「最終的に企業の成功を支えるのは社員だ」と述べ,「People-Ready」と名付けたビジョンについて説明した。
People-Readyビジョンは,同社が今後1年にさまざまな分野で展開していく一連の革新の背景となるという。「社員に適切なソフトウエア・ツールを与え,社員が世界規模で協力しながら作業し,顧客と即座に連絡を取って対応し,直感的にプロセスを改善できるようにする企業,それがPeople-Readyだ」(Ballmer氏)
同社Microsoft Business部門プレジデントのJeff Raikes氏は,「社員はプロセスやシステムよりも重要だ。もちろん,外部コンサルタントより大切な存在だ。事業を成功に導く究極の役割を果たすのは,社内の従業員だ」と述べた。「それを理解している企業は,社員が能力を発揮するためにソフトウエアとツールに投資する。社員が能力を発揮すれば,企業自体の力が高まる」(Raikes氏)
Microsoft社はPeople-Ready推進にあたり,今後リリースする製品やサービスにおいて,主に「統合通信およびコラボレーション」「企業向け検索」「モバイル・ワーカー支援」「ビジネス・インテリジェンス」「顧客関係管理(CRM)」「インフラストラクチャ」といった分野のニーズに焦点を当てるとしている。
例えば統合通信およびコラボレーションに関しては,企業向けポータル・サーバー「Microsoft Office SharePoint Server 2007」で,使いやすいカスタマイズ・ツールや,wiki/ブログなどの統合機能を提供する。「Exchange Server」「Microsoft Office Live Communications Server」「Microsoft Office Communicator」の技術により,電子メール,電話,インスタント・メッセージング,オンライン会議などの通信手段を統合し,使い勝手の良い効率的な手段を提供する。
企業向け検索については,「Windows Desktop Search」とMicrosoft Office SharePoint Server 2007などを組み合わせることで,社員が自身のパソコン,サーバー,あるいは社内のいずれに格納されている情報でも,即座に直感的なユーザー・インタフェースで一元的にアクセスできるようにする。
また,モバイル・ワーカー支援においては,「Exchange Server」の次期版で音声認識技術と統合メッセージング・プラットフォームを提供し,電子メール,ファクス,ボイスメールを,従来のデバイスだけでなく,モバイル機器からも一括管理できる環境を目指す。「Windows Mobile」「2007 Microsoft Office」を加えることで,企業のモバイル対応を支援する。
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