米連邦通信委員会(FCC)は米国時間2月10日,米国のメディア・サービス産業に関する調査結果を発表した。それによると,米国人は1日のうち平均30%をメディア活用に費やしており,中でも「テレビの視聴」が最も多い。

 調査は,2004年9月~2005年9月にかけて実施したもの。一般的な米国家庭がテレビを付けている時間は1日あたり8時間11分で,前年比3%増加し,10年前と比べて12%以上伸びている。「米Nielsen Media Researcが1950年代にテレビ視聴の測定を開始して以来,最も長い」(FCC)という。また,平均的な米国人のテレビ視聴時間は1日あたり4時間32分で,これも過去最高の数字である。

 FCCは,同産業においてマルチチャネルのビデオ番組配信(MVPD)が成長しつつあると指摘する。MVPDで最も優勢なのはケーブルTV事業者だが,ケーブルTV加入者数は過去1年で減少傾向にある。2005年6月時点のケーブルTV事業者がMVPD市場に占める加入者シェアは69.4%で,前年の71.6%から縮小した。直接放送衛星(DBS)事業者のシェアは前年の25.1%から27.7%に拡大した。他の配信技術を用いた事業者のシェアはわずかだが,「地域通信事業者(LEC)は有望な成長株だ」(FCC)。LECは事業エリア内でのビデオ配信サービスのためにDBSとの提携を進め,同時にDSLサービス向けの設備拡充も図っている。

 ケーブルTV事業者は,サービス地域の拡大やインターネット接続などの追加で優位性を維持しようとしている。DBSプロバイダは番組の拡充で対抗し,ブロードバンド接続プロバイダはビデオ/VoIP/インターネット接続をバンドルした「トリプル・プレイ」と低価格で競争に挑んでいる。

 その他の主な調査結果は以下の通り。

・2005年6月時点でTV視聴が可能な米国家庭は1億960万世帯(2004年6月は1億840万世帯)。そのうちMVPDサービスに加入している米国家庭は約9420万世帯(同9220万世帯)。

・2005年6月時点でブロードバンド接続プロバイダがMVPD市場に占めるシェアは1.5%で,加入者数は約140万人。

・インターネットを介したビデオ配信は毎年大幅に拡大しており,ケーブルTV事業者,DBS事業者,インターネット・サービス・プロバイダによるビデオ配信は,これまでのビデオ・レンタルにとって代わりつつある。

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