米連邦取引委員会(FTC)は,違法にスパイウエア配信を行ったとして米Odysseus Marketingおよび同社責任者のWalter Rines氏を提訴した。FTCが米国時間10月5日に明らかにしたもの。

 FTCによると,Odysseus社は,無料ソフトウエアの広告で消費者の関心を引き,ひそかにスパイウエアやアドウエアを消費者のパソコンにインストールしたという。

 Odysseus社は,匿名でピア・ツー・ピア型ファイル交換が行えるという無料ソフトウエアの広告を配信。「DOWNLOAD MUSIC WITHOUT FEAR(安心して音楽ダウンロード)」「DON’T LET THE RECORD COMPANIES WIN(レコード会社だけ儲けさせるな)」などの宣伝文句で,無償ソフトウエアをダウンロードするよう消費者を促した。

 FTCは,同ソフトウエアで匿名のファイル交換が実行できないことを指摘。また,同ソフトウエアのダウンロードには「Clientman」と呼ばれるスパイウエアが付属し,数十におよぶ他のプログラムをひそかにダウンロードして結果的にパソコンの性能やメモリーを劣化させるため,「無償」ではないと非難した。

 同ソフトウエアがインストールされたパソコンでは,「Google」や「Yahoo!」の検索エンジンを使おうとすると,偽のホームページが表示される。さらに,Clientmanはポップアップ広告を生成し,パソコンから情報を取得して,Odysseus社の管理下にあるサーバーに送り込む。

 FTCは,Odysseus社の行いが不正かつ不当でFTC法に抵触するとして,同社業務の恒久的停止を命じるよう,連邦地方裁判所に求めている。

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