米ハーバード大学法学大学院で社会とインターネットの関係について研究しているBerkman Center for Internet and Societyは米国時間9月9日に,情報および通信技術(ICT)のエコシステムに向けたロードマップ「Roadmap for Open Information and Communication Technologies Ecosystems」を発表した。経済発展に向けたオープンな技術標準の導入を推進する。
「今日の,情報および通信技術が後押しするグローバライゼーションは,あらゆる社会に急速な変化をもたらしている。グローバライゼーションへの動きは,政府機関や企業,および我々の生活に新たな需要を生み出す。あらゆる分野の意志決定者は,地域,国内,そして世界のリソースを革新的な手法で混合し,必要な変化を推進するための技術を求めている」(Berkman Center)
ただし,同ロードマップは,オープンソース・ソフトウエアのみを支援するものではなく,プロプライエタリ・ソフトウエアと共存する環境を視野に入れている。 ソフトウエアに関する項目では,「政府のポリシーが指定すべきは技術標準であり,ソフトウエア開発モデルではない」とし,「オープンな標準は,あらゆるソフトウエアの相互操作性を実現する。オープンなICTエコシステムが展開され,適切な相互操作性とポリシーが確立すれば,ソフトウエア・プロバイダ間のビジネス・レベルの競争を確保できる」と記述している。
同ロードマップでは,ICTエコシステムの基準,管理,調達,官民関係,法規制,マクロ経済,研究開発,そして技術を構築する基盤として「相互操作性」「ユーザー中心」「コラボラティブ」「持続性」「柔軟性」の五つの原則を挙げている。
◎関連記事
■米マサチューセッツ州,OpenDocument準拠のオフィス・スイート導入を計画
■「米政府機関IT幹部の約6割がオープンソース・アーキテクチャの導入に賛成」,米調査
■ドイツのミュンヘン市,1万4000台のLinux移行プロジェクトでDebian GNU/Linux採用を公表
■欧州のフリーソフト団体,GPL新版「GPLv3」の策定プロジェクトを発表
■「オープンソースに開放された特許の共有財を形成」,OSDLがパテント・コモンズ・プロジェクトを開始
■欧州議会がソフトウエア特許指令を最終的に否決
■オープンソース団体OSIが新ライセンス規定を提案,「重複せず,理解しやすく,再利用可能に」
■「ソフトウエア特許との泥沼の戦いが数年以内に起きる」──中央大学 教授 今野浩氏
[発表資料へ]
[ロードマップ(PDF)]