所属企業・組織で情報システムを担当していると明示した回答者に,担当している情報システムの範囲を聞いた(複数回答)。「全社の情報システム」を担当しているとした回答者の比率は61.7%で,前回2008年12月調査(四半期予算調査を実施)の67.6%より5.9ポイント低く,2008年11月調査(ベンダー満足度調査を実施)の65.2%に対しても3.5ポイント,インテグレータ満足度調査を実施した2008年8月調査の66.9%に対しても5.2ポイント低かった。「部門の情報システム」担当の比率は39.7%(前回2008年12月調査は36.1%,2008年11月調査は39.4%,2008年8月調査は38.8%)。「事業所の情報システム」担当は26.7%(前回28.5%,2008年11月調査は29.4%,2008年8月調査は30.0%)でやや低め。「ワークグループの情報システム」担当は24.6%(前回20.7%,2008年11月調査は22.9%,2008年8月調査は22.3%)でやや高めだった。

図1●回答者のうち情報システム担当者の担当範囲(複数回答,n=1204)
図1●回答者のうち情報システム担当者の担当範囲(複数回答,n=1204)

 「担当業務のシステム・ライフサイクル上での段階」(担当・関与しているシステム業務の中心は,システム・ライフサイクルのどの段階に最も近いか)は,前回2008年12月調査までの9選択肢を今回から整理した。従来調査での「提案依頼/業者選定」と「要求分析/要件定義」を《提案依頼(RFP)/業者選定/要求分析/要件定義》に。「詳細設計/実装」と「単体・統合テスト」「システム移行」を《詳細設計/実装/テスト/移行》に。「保守/修正/機能追加」と「システムの廃棄」を《保守/修正/機能追加/廃棄》に,それぞれ集約した選択肢を提示した。

 今回最も多くの回答者が選んだのは,前回2008年12月調査と同じ「運用/活用支援」で32.1%(前回は28.1%,2008年11月調査は28.7%,2008年8月調査は27.0%)とやや比率が高まった。

 以下,「提案依頼(RFP)/業者選定/要求分析/要件定義」(19.9%,前回調査で対応する選択肢の合計比率は24.6%)と「システム戦略立案」(今回19.7%,前回22.6%)がほぼ同率で前回よりやや低下。「保守/修正/機能追加/廃棄」は16.5%(前回調査で対応する選択肢の合計比率は15.3%),「詳細設計/実装/テスト/移行」は11.8%(同9.4%)の比率は前回より若干上昇している。

図2-1●担当業務のシステム・ライフサイクル上での段階(n=1173)
図2-1●担当業務のシステム・ライフサイクル上での段階(n=1173)

 所属企業・組織で情報システムを担当していると明示した回答者に,担当分野を聞いた(複数回答)。この設問も今回から選択肢を見直し,業務別,インフラ系,目的別,ハード/ソフト別のそれぞれに置いていた「その他」を廃止。【業務別】に「特定業種業務(銀行勘定系,自治体徴税,医療情報化など)」,【インフラ系】に「エンタープライズ・アーキテクチャー」,【ハード/ソフト別】に「仮想化基盤,OSの購入」の3つの選択肢を追加している。

 前回2008年12月調査と比較可能な20種について見ると,比率の増加した側は最大1.9ポイント(「ストレージ系」の前回29.3%→今回31.2%),減少側は最大3.3ポイント(「既存システムの再構築」の前回34.1%→今回30.8%)で,全体として比較的小幅な変動に収まっている。特に【業務別】と【ハード/ソフト別】は全分野の比率が,前回調査と1ポイント以内のわずかな増減だった。

◆注
 図中の「情報系システム」はグループウエアや情報共有システム,「ネットワーク系システム」はWAN,LAN,電話,「インターネット系システム」は情報発信,電子商取引,マーケティング関連のシステムを指すものとして回答を求めた。「運用・危機対策系システム」はビジネス・コンティニュイティ分野,「運用・保守開発」は信頼性向上やコストダウンを目的とするソフトの維持改良を含む。「ソフトウエア購入」はアプリケーション・ソフトやミドルウエアの購入を指すものとして回答を求めた。

図2-2●回答者のうち情報システム担当者の担当分野(複数回答,n=1204)
図2-2●回答者のうち情報システム担当者の担当分野(複数回答,n=1204)

 回答者のうち,自社の情報システム担当者の勤務先の業種,所在地,上場の有無,担当システムの利用就業者規模の比率は図示した通り。業種別は「製造業」が31.3%(前回2008年12月調査では31.9%,2008年11月調査では31.8%,2008年8月調査では32.6%)でほとんど変わらず。「流通業」が今回はやや少なく7.7%(前回10.9%,11月調査9.8%,8月調査10.7%)。「サービス業」は42.4%だった(前回38.4%,11月調査42.0%,8月調査38.4%)。

 回答者の勤務先の所在地(脚注参照)は今回も前回調査と1ポイント以内の変動幅に収まった。「東京都」が最多の36.5%(前回37.0%)。次いで「関東(東京を除く)」の17.9%(前回16.7%),「近畿」14.9%(前回15.9%),「東海・北陸・甲信越」14.7%(前回も14.7%)の順となっている。

 回答者の担当しているシステムの規模別では,“小規模”(利用者300人未満)の回答者の比率が48.7%(前回49.7%),300人以上1000人未満の“中規模”が19.2%(前回19.1%),1000人以上の“大規模”担当者の比率が31.2%(前回30.4%)。これも前回2008年12月調査とほぼ同じ比率だった。

◆注
 本文中の「製造業」は「機械製造」,「コンピュータ,周辺機器製造」,「その他電気・電子機器製造」,「上記3種以外の製造業」を合計した。
 「サービス業」は「サービス業(マスコミ,広告,デザイン,飲食店,その他)」,「専門サービス(弁護士/会計士など)」,「金融/証券/保険業」,「運輸/エネルギー」,「通信サービス」,「情報処理/ソフトウエア/SI・コンサルティング/VAR」の合計。
 「流通業」は「商社」,「コンピュータ関連販売」,「上記2種以外の流通/小売」の合計である。
 本調査で有効回答としている「情報システム担当者」は,所属する企業・組織で,『自社業務の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当』している人を指す。対象は全社システムに限らず,部門や事業所・拠点内の小規模な情報システムも含む。勤務先の所在地は,「全社の情報システム」の担当者は本社の,それ以外は担当の「事業所」「部門」「ワークグループ」の所在地を回答してもらった。
 所属が情報システム子会社でも,親会社のためではなく『自社の業務遂行のために行う自社の情報システムにかかわる業務を担当』していれば,本調査での「情報システム担当者」に該当するものとした。

図3-1●自社の情報システム担当者の勤務先の業種(n=1204)
図3-1●自社の情報システム担当者の勤務先の業種(n=1204)

図3-2●自社の情報システム担当者の勤務先の所在地(n=1204)
図3-2●自社の情報システム担当者の勤務先の所在地(n=1204)

図3-3●自社の情報システム担当者の勤務先の上場の有無(n=1204)
図3-3●自社の情報システム担当者の勤務先の上場の有無(n=1204)

図3-4●自社の情報システム担当者の勤務先の担当システムの利用就業者規模(n=1204)
図3-4●自社の情報システム担当者の勤務先の担当システムの利用就業者規模(n=1204)