調査内容 主要ベンダーに対する「利用したい理由」(その2)
調査時期 2008年7月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3062件(1126件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが企業情報システムの担当者(ITpro Researchモニター登録者)を対象に行った2008年7月調査で,「今後利用したい」という回答を得たベンダーに対する「利用したい理由」を,得票数100~135の5社(アドビ システムズ,富士通,NEC,日本IBM,シスコシステムズ)について分析した。

富士通は今回も「過去の実績」が最大

 アドビへの『利用したい理由』は,「製品/サービスの機能」67.2%(2008年4月調査では71.5%)が,今回の調査で30人以上から『利用したい理由』の回答が得られたベンダー26社(「調査概要」参照)中の3位。「ブランドや企業イメージ」29.1%も前回調査より約5ポイント上昇したが,「導入後のサービス(保守、稼働継続)」が約14ポイントも低下して3.0%と,26社中最下位(25位はヴイエムウェア(VMware日本法人,n=32の9.4%)だったのが目立つ。

 富士通は,「過去の導入/利用実績」が『利用したい理由』の7つの選択肢中最大の50.4%。「過去の実績」が最大の理由になったのは,前回調査では富士通だけだったが,今回は富士通のほかNTT東/西,NEC,日立製作所(n=87で39.1%),KDDI(n=39で46.2%),NTTコミュニケーションズ(n=49で40.8%)の合計6社。「製品/サービスの機能」を理由として挙げる回答者の比率が低下したことで,「最大の理由は過去の実績」となるベンダーの数が増えた形だ。

 その中では,富士通は「製品/サービスの機能」の比率が前回調査より約6ポイント上昇(前回40.0%→今回45.9%)している。富士通は「提案、業務分析、情報提供」(前回22.1%→今回24.8%)も小幅ながら上昇した。「導入後のサービス」の32.3%は,富士ゼロックス(n=39で35.9%)に次ぐ26社中2位の高率である。

 NECへの『利用したい理由』の傾向も富士通と似ているが,前回富士通を上回った「導入後のサービス」が約13ポイントの大幅ダウン(前回33.1%→今回20.6%)で富士通を下回ったのが目立つ。「企業規模や体制」の24.4%は26社中トップ(2位は日立製作所でn=87で21.8%),前回(14.5%)から約10ポイント増えた。

IBMは「機能」が平均を下回る

 日本IBMへの『利用したい理由』は,「提案」の30.3%(前回30.1%)が26社中の2位(トップはセールスフォース・ドットコムでn=30で33.3%)だが,「コスト」の0.8%(前回6.8%)は26社中25位(26位はオラクルの0.7%)。「機能」が前回より約10ポイント低下(前回61.7%→今回52.1%)して,26社の平均(55.2%)を下回った。

 シスコへの『利用したい理由』は,「ブランド」が37.7%(前回39.1%)で前回に続いて26社中トップ(2位はNTTドコモでn=32で37.5%)。「機能」(前回68.7%で3位→今回72.8%でVMwareに次ぐ2位)も前回に続いて高い評価を得た。しかし「導入後のサービス」(前回24.3%→今回16.7%)が約8ポイント低下。「コスト」の1.8%(前回6.1%)は26社中24位で,オラクル,IBMとともに下位に沈んでいる。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,情報通信製品/サービス・ベンダーとシステム・インテグレーター(SIer)の主要企業各68社について,職務(担当システム)の領域で「今後利用したい」と感じるかを聞き,「今後利用したい」とした回答者に,そのベンダー/SIerを「利用したい」と感じる理由をたずねた。
 選択肢は「コスト」,「提案,業務分析,情報提供」,「製品/サービスの機能」,「導入後のサービス(保守,稼働継続)」,「企業規模や体制」,「ブランドや企業イメージ」,「過去の導入/利用実績」,「その他」の8つを提示。その中から,「利用したい」と感じる理由を最大3つまで選ぶよう求めた。そのベンダー/SIerを「利用したい」とした回答者数(無回答者を除く。図中のn)を100%として,それぞれの理由が選ばれた比率を集計した。
 今回の調査で30人以上から『利用したい理由』の回答が得られたベンダーは,今日の記事で紹介した5社と,マイクロソフト,デル,NTT東日本/NTT西日本,日本ヒューレット・パッカード,日本オラクル(以上5社の結果は8月22日付け記事を参照),日立製作所,サイボウズ,サン・マイクロシステムズ,レノボ・ジャパン,NTTコミュニケーションズ,トレンドマイクロ,シマンテック,SAPジャパン,キヤノン,KDDI,富士ゼロックス,リコー,オービックビジネスコンサルタント,ヴイエムウェア,NTTドコモ,セールスフォース・ドットコムの合計26社。
 評価対象企業全136社のリストは,本調査の設問の原文とともに,日経マーケット・アクセスの有償会員向けサイト「日経MA-INDEX 企業情報システム」で近日中に公開する予定。
 調査実施時期は2008年7月中旬,調査全体の有効回答は3062件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1126件。

図●主な情報システム関連ベンダーに対する「利用したい」理由
図●主な情報システム関連ベンダーに対する「利用したい」理由
(回答数上位6~10位,n=100以上135未満)