調査内容 主要ベンダーに対する「利用したい理由」(その2)
調査時期 2008年4月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 2920件(1136件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが企業情報システムの担当者(ITpro Researchモニター登録者)を対象に行った2008年4月調査で,「今後利用したい」という回答を得たベンダーに対する「利用したい理由」を,得票数100~150の5社(富士通,NEC,日本IBM,アドビ システムズ,シスコシステムズ)について分析した。

「機能で選ぶ」率が低迷した富士通

 このうち富士通は,「過去の導入/利用実績」が『利用したい理由』の7つの選択肢中最大の46.9%。今回の調査で30人以上から『利用したい理由』の回答が得られたベンダー23社(「調査概要」参照)の中で,「過去の実績」がトップだったのは富士通だけである。ただし23社の中で見ると,「過去の実績」46.9%は日本オラクル,デル,シマンテック(50.4%),マイクロソフト,トレンドマイクロ(47.8%)に次ぐ6番目で,5月16日付け記事で紹介した「デルのコスト」のように他社から突出して高いわけではない。23社の平均値(41.0%)から5.9ポイント高いだけである。

 むしろ富士通に対する『利用したい理由』では,「導入後のサービス(保守、稼働継続)」(31.7%),「提案、業務分析、情報提供」(22.1%),「企業規模や体制」(18.6%)が23社の平均値(順に23.6%,11.1%,10.2%)を大きく上回っている。「コスト」(13.8%,23社平均は15.9%),「ブランドや企業イメージ」(22.8%,23社平均は24.1%)は平均なみ。だが「製品/サービスの機能」の40.0%は,23社中の22位(23位はデルの36.4%)といささか寂しい。

 NECへの『利用したい理由』の傾向も富士通と似ているが,「コスト」は9.7%で平均を約6ポイント下回る。「機能」46.2%は23社平均(56.4%)を約10ポイント下回っているが,富士通より約6ポイント高い。「導入後のサービス」33.1%と「提案」22.8%も富士通をわずかながら上回った。

「提案で選ぶ」トップのIBM,「ブランドで選ぶ」トップはシスコ

 日本IBMへの『利用したい理由』は,「コスト」(6.8%)と「過去の実績」(39.8%,23社平均は41.0%)以外の5つの選択肢が,23社の平均値を上回った。特に「提案」の30.1%は23社中のトップ(2位はSAPジャパンで27.3%,3位はNEC,4位は富士通)。「企業規模や体制」の20.3%もNTT東日本/NTT西日本(20.7%)に次ぐ(3位は富士通)。「機能」は61.7%で23社平均を約5ポイント上回った。

 ちなみに,今回調査で「利用したい理由」が92票に終わった日立製作所は,図示していないが「導入後のサービス」が35.9%で富士通,NECを上回る2位(トップはNTTコミュニケーションズで44.7%)。「提案」は17.4%で富士通に次ぐ5位。「機能」48.9%も23社平均を約7ポイント下回るものの,富士通,NECを上回った。「コスト」(12.0%)は富士通には及ばないが,日本IBMとNECより高い比率で選ばれている。

 アドビへの『利用したい理由』は,「機能」71.5%が23社中の2位(トップはサイボウズで73.9%)と高い。「過去の実績」40.0%と「ブランド」23.8%はほぼ23社の平均なみ。「導入後のサービス」(16.9%)と「コスト」(6.2%)と「提案」(4.6%)は23社の平均を7~10ポイント下回った。

 シスコへの『利用したい理由』は,「ブランド」が39.1%でSAPジャパン(36.4%)やサン・マイクロシステムズ(33.3%)を抑えて23社のトップ。「機能」(68.7%で3位)も高い。「導入後のサービス」(24.3%)と「企業規模や体制」(10.4%)は23社の平均なみ。「コスト」と「提案」はアドビとほぼ同じ低率だ。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,情報通信製品/サービス・ベンダーとシステム・インテグレーター(SIer)の主要企業各68社について,職務(担当システム)の領域で「今後利用したい」と感じるかを聞き,「今後利用したい」とした回答者に,そのベンダー/SIerを「利用したい」と感じる理由をたずねた。
 選択肢は「コスト」,「提案,業務分析,情報提供」,「製品/サービスの機能」,「導入後のサービス(保守,稼働継続)」,「企業規模や体制」,「ブランドや企業イメージ」,「過去の導入/利用実績」,「その他」の8つを提示。その中から,「利用したい」と感じる理由を最大3つまで選ぶよう求めた。そのベンダー/SIerを「利用したい」とした回答者数(無回答者を除く。図中のn)を100%として,それぞれの理由が選ばれた比率を集計した。
 今回の調査で30人以上から『利用したい理由』の回答が得られたベンダーは,今日の記事で紹介した5社と,マイクロソフト,日本オラクル,デル,NTT東日本/NTT西日本,日本ヒューレット・パッカード(以上5社の結果は5月16日付け記事を参照),日立製作所,サイボウズ,サン・マイクロシステムズ,レノボ・ジャパン,トレンドマイクロ,SAPジャパン,KDDI,EMCジャパン,NTTコミュニケーションズ,オービックビジネスコンサルタント,富士ゼロックス,シマンテック,レッドハットの合計23社。
 評価対象企業全136社のリストは,本調査の設問の原文とともに,日経マーケット・アクセスの有償会員向けサイト「日経MA-INDEX 企業情報システム」で近日中に公開する予定。
 調査実施時期は2008年4月中旬,調査全体の有効回答は2920件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1136件。

図●主な情報システム関連ベンダーに対する「利用したい」理由
(回答数上位6~10位,n=100以上150未満)