「コンピュータ、ストレージ、ネットワークを統合するアーキテクチャ、その答えがOpenStackだ」---米Red HatのCTO/ワールドワイドエンジニアリング担当Vice President Brian Stevens氏は2013年6月13日(現地時間)、イベント「Red Hat Summit 2013」(関連記事1、関連記事2、関連記事3、関連記事4)の基調講演でこう語り、オープンソースのクラウド基盤であるOpenStackを同社の中核に位置づける姿勢を強調した。
Stevens氏は「コンピュータ、ストレージ、ネットワークはいずれも専用マシンから汎用マシンに置き換えられていく。サーバーではこの10年、独自マシンのUNIXがLinuxを搭載した汎用のx86マシンに置き換わってきた」とする。Red Hatはオープンソースの分散ストレージソフトGlusterのエンタープライズ版Red Hat Storageを提供している。ネットワークはOpenFlowなどのSDN(Software Defined Network)という形で汎用マシンへの置き換えが始まろうとしている。
「このように汎用マシンの上で仮想化されたコンピュータ、ストレージ、ネットワークを統合するアーキテクチャが必要だ。我々は今その答えを手にしている。OpenStackだ」(Stevens氏)。
とはいえ、Red Hatは当初からOpenStackプロジェクトに参加していたわけではない。OpenStackの構想は2010年にオリジナルの開発元であるRackspaceから発表され、当初はUbuntuを参照OSとしていた。「Red Hatは方針転換を行った」とStevens氏は振り返る。2011年8月、Stevens氏は社内に「製品戦略を変換し、OpenStackプロジェクトに参加すべきだ」というメールを送信する。社内のエンジニアから賛同の声が上がり、Red HatはOpenStackエンジニアチームを結成しプロジェクトに参加。推進組織OpenStack Foundationには発足時からプラチナメンバーとなった。
OpenStackの最新バージョンでは、Red HatはRackspaceを上回るトップの改良を行っている。「OpenStackの状態を可視化するような、プロジェクト全体に関わる改良などで貢献している」(Stevens氏)。Gluster分散ストレージをOpenStackから利用できるようにする改良も行った。
Red Hatは前日、OpenStackのエンタープライズ版OpenStack EnterpriseとRed Hat Enterprise Linuxを統合した「Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform」を発表している(関連記事)。またRed Hat StorageをOpenStack Enterpriseと統合することも明らかにしている。
またRed HatはオープンソースのSDNプロジェクト「Open Daylight」に参加している。キーノートにはOpen Daylightの開発に携わっているエンジニアがビデオで登場、Red Hatのプロジェクトへの積極的な姿勢を印象づけた。
同社が提供するPaaSであるOpenShiftでは、2011年5月ベータサービス開始以来「すでに2万5000以上のアプリが作られており、1日平均2032ずつ増えている」とユーザーが拡大していると強調。
最後に、ツール「FOREMAN」により数分間でOpenStackとOpenShiftをインストールし、その上でWordpressを動かすというデモをビデオで紹介。管理の容易さをアピールした。