NTTは2013年6月12日(現地時間)、米国ボストンで開催されたイベント「Red Hat Summit 2013」(関連記事1、関連記事2、関連記事3)で「Migrating Oracle WebLogic to JBoss Enterprise Application Platform at NTT group」と題して講演、NTTグループでのWebLogicからJBossへのJavaアプリケーションサーバー移行事例を紹介した。移行支援ツール「TUBAME」を開発し工数を約40%削減。TUBAMEは2013年夏にもOSSとして公開する計画という。
講演したのはNTT OSSセンタ 主査 浦野将人氏とレッドハット JBoss事業部 JBossコンサルタント 山田義和氏。NTT OSSセンタは、NTTグループでOSS導入に際しての研究開発やサポートを行っている組織。OSSの利用だけでなく、PostgreSQLの新機能を開発しコミュニティに提供、標準機能として採用されるなど貢献も活発に行っている。
浦野氏は「NTTグループはおそらく日本で最も多くのJBossを導入している最大のユーザー」と語る。NTT OSSセンタでJBossの解説書を執筆するなど、精通した技術者を擁する。「コスト削減、使用しているバージョンのWebLogicのサポート終了、OSSの利用を優先するNTTグループの方針など」(浦野氏)がJBossに移行した理由だ。
同じJavaアプリケーションサーバー間とはいえ、移行には作業工数や注意を要する。「アプリケーションがどのようなAPIを使用しているかの洗い出しや、検証が必要。JBoss間でのバージョンアップでさえ、アプリの実行性能が落ちてしまうケースもある」(レッドハット 山田氏)。
そこでNTT OSSセンタでは移行支援ツール「TUBAME」を独自開発した。TUBAMEの機能は2つ。1つはアプリケーションがどのようなアプリケーションサーバー固有の機能を使用しているか、Javaプログラムを調査する。もう一つは、設定したルールに基づきJavaプログラムやXML設定ファイルを走査する。これらによりどの部分を修正する必要があるかを検出する。
NTTグループではすでにTUBAMEを利用して10以上のシステムを移行している。修正が必要なコード量は全体の1.2%以下だったという。TUBAMEの利用により「移行にかかる工数を約40%削減できた」(NTT 浦野氏)。
「TUBAMEはまもなくJBossコミュニティにデビューする」(浦野氏)。2013年夏にもオープンソースソフトウエアとして公開しJBoss開発コミュニティに提供する計画という。