ニッポン放送は2012年3月9日、スマートフォンアプリ「Toneconnect」の普及を目指す新会社「トーンコネクト」の営業活動を開始した(写真1)。
Toneconnectは、音声で情報を伝えるAndroidおよびiPhone向けアプリ。この日はスマートフォンアプリをテーマにした番組「オールナイトニッポン GOLD app10.jp」(関連記事)の公開生放送を実施し、Toneconnectの新機能をラジオを通じ実験した(写真2)。
ピポパ音でWebサイトを伝える
Toneconnectは、「ピポパ」という電話のダイヤル音で、スマートフォン同士で情報を伝えることができるアプリ。テキストやURLを送信でき、URLであればブラウザが自動的に起動する。ラジオを通じて情報を伝えることも可能だ。ITproが主催したAndroidアプリのコンテストA3 Togetherで、アプリ/Webサービス賞およびシリコンバレー特別賞を受賞している(関連記事)。
トーンコネクトは、Toneconnect開発元のアドリブと、ニッポン放送が共同で出資し設立した。代表取締役 CEO(Chief Executive Officer)はToneconnectの開発者であるアドリブの加畑健志氏、代表取締役 CMO(Chief Marketing Officer)はニッポン放送のアナウンサーでapp10.jpのパーソナリティである吉田尚記氏が務める。
企業やイベントでの利用が決定、ChromeやTwiccaの拡張機能も
ニッポン放送で行われた公開生放送では、企業などでのToneconnectの利用予定が紹介された(写真3)。日本気象協会が4月7日から8日に開催される有楽町桜祭りでToneconnectを利用した企画を実施する。エレクトリック・マテリアルはモバイルサイト管理システム「LISAPLUS K2」にToneconnectを組み込む予定だ。トッパン・フォームズでは、音を録音し再生できる紙「オーディオペーパー」を販売しており、その音でURLなどの情報を伝えるといった利用方法を想定している。
またWebブラウザ「Chrome」向けの拡張機能が開発されている。パソコンのChromeで音を出し、スマートフォンのToneconnectにURLを伝えることができる。「自分に向けてメールしたりしなくてすむ。この拡張機能ができてからToneconnectをさらにひんぱんに使うようになった」(吉田氏)。また、AndroidのTwitterクライアントアプリであるTwiccaのプラグインも開発された。Twitterアカウントを音で交換できるプラグインである。「オフ会などで簡単に複数の人に自分のアカウントを伝えることができる」(吉田氏)。
メロディで音を伝える新機能を公開実験
この日初めて披露された新機能は「メロディで音を伝える」というものだ。従来は8~10音の電話のダイヤル音で情報を伝えていたが、トーンコネクトのサーバー側で変換することで、最短3音で伝達できるようにした。生放送で行われた実験では、森永製菓のコマーシャルのジングルのメロディが鳴ると、会場の参加者やラジオの向こうの視聴者のスマートフォンに森永製菓のホームページが開いた。現在、Toneconnectのホームページ左上にある「Toneconnect」と書かれたボタンを押すと、メロディが流れ、ToneconnectのFacebookページのURLが伝達されるようになっている。
トーンコネクトではこのメロディ機能を、企業のプロモーションなどに活用してもらうことを想定している。メロディ機能は有償での提供を考えているが、当面はアイデアを募集し、面白い使い方に対しては無償提供も検討している。なお「3音は、119的な緊急時用にして、一般用途には4音以上を使ってもらう」(加畑氏)。Toneconnectは、もともと、東日本大震災の際に情報を効率的に伝えることが困難であったことをきっかけに開発したためだ。
海外普及狙いSXSWでデモへ、「TwitterやFoursquareに続く」
日本だけでなく、海外での普及も狙う。加畑氏と吉田氏の2人が、3月9日から米国で開催される音楽・映画・インタラクティブ技術のコンベンション、サウス・バイ・サウス・ウエスト(SXSW)に参加し、プロモーション活動を行う。すでに加畑氏は、A3 Together シリコンバレー賞の副賞として渡航した米国で、投資家などにToneconnectをアピールしてきた(関連記事)。「TwitterやFoursquare、Facebookなど多くのサービスがSXSWでのプレゼンをきっかけに広まった」(加畑氏)。加畑氏と吉田氏の目標は、これらのサービスに続くことだ。