米Sprint Nextelは米国時間2011年9月6日、米AT&Tの米T-Mobile USA買収を阻止する目的で訴訟を提起したことを明らかにした。先日、米司法省が起こした独占禁止法訴訟の関連として、AT&Tと傘下のAT&T Mobility、およびT-Mobile USAと親会社のドイツDeutsche Telekomをクレイトン法違反でコロンビア特別区連邦地方裁判所に提訴した。

 Sprintは、AT&TがT-Mobile USAを買収することによって、価格高騰と品質低下を招き、消費者と企業に損害を与えると主張。また、AT&Tと米Verizon Wirelessの複占状態が確立され、この2社で国内無線市場における加入者の4分の3以上、収益の90%を支配することに懸念を示している。

 Sprint訴訟関連担当バイスプレジデントのSusan Z. Haller氏は、「今回の法的行動により、当社は引き続き消費者と競争を擁護し、同買収が違法であることを証明するのに当社の知識とリソースを役立てたい」と述べている。

 AT&Tは3月20日に、T-Mobile USAを約390億ドルで買収することでDeutsche Telekomと合意したことを発表した(関連記事:AT&TがT-Mobile USAを約390億ドルで買収へ、米国民95%にLTE提供を目指す)。これに対してSprintは強く異議を唱え、買収を阻止するよう米政府に求める声明を3月28日に公表していた(関連記事:SprintがAT&TのT-Mobile USA買収に異議、米政府に阻止を要求)。AT&Tは買収が実現したあとも市場の活発な競争は確実に維持されると主張したが、DOJは同買収が市場競争を阻害する可能性があるとして、8月31日に買収阻止に向けて独占禁止法訴訟を起こしたことを明らかにした(関連記事:米当局がAT&TのT-Mobile買収阻止に向け提訴)。

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