米AT&TとドイツDeutsche Telekomは米国時間2011年3月20日、AT&TがDeutsche Telekomの米国携帯電話事業T-Mobile USAを買収することで最終合意に達したと発表した。買収総額は約390億ドル。すでに両社取締役会が承認している。買収成立には当局などの承認を得る必要があり、両社は約1年以内の手続き完了を見込んでいる。

 AT&Tは、同買収により、通常であれば建設に平均5年間かかる基地局を取得できるとしている。約7年間でインフラ投資を80億ドル以上増強し、特にLTE(Long Term Evolution)ネットワーク導入促進に注力する。既存のLTE計画を拡大して対象人口を4650万人追加し、米国人口の95%にあたる2億9400万人以上をカバーすることを目指す。

 買収条件のもと、Deutsche TelekomはT-Mobile USAの所有権をAT&Tに譲渡し、現金250億ドルと、140億ドル相当のAT&T株を受け取る。手続き完了後、Deutsche TelekomはAT&Tの株式の最大8%を保有し、AT&Tの取締役会に代表1人を送り込む。

 AT&Tは、「米国の携帯電話市場は世界で最も競争が激しい市場の一つであり、今後も競争は維持される」として、米国の上位20地域市場のうち18市場で5社以上のキャリアがサービスを展開していると説明した。

 米メディアの報道(Wall Street Journal)によると、現在米国無線市場で2位のAT&Tが4位のT-Mobile USAを買収することにより、AT&Tのユーザーは1億3000万人弱となり、首位の米Verizon Wirelessを上回る。また、3位の米Sprint Nextelと比べ2倍以上のユーザーを抱えることになる。

[発表資料(AT&Tのプレスリリース)]
[発表資料(Deutsche Telekomのプレスリリース)]