金融庁は2009年12月11日、国際会計基準(IFRS)の任意適用についての内閣府令を公表した。IFRSを強制適用(アダプション)に先駆けて適用できる条件を示したほか、2010年3月31日以降に終了する事業年度からIFRSを適用できることを明確にした。

 内閣府令の正式名称は「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規制等の一部を改正する内閣府令」。IFRSの強制適用は現在、2015年以降に始まるとみられている。今回、公布になった内閣府令は、その前に企業が自主的にIFRSを適用する任意適用の条件などを示したものだ。

 内閣府令ではIFRSの早期適用について「すべてを満たす要件」と「いずれかを満たす要件」をそれぞれ三つ示している。すべてを満たす要件は、(1)発行する株式が、金融商品取引所に上場されている、(2)有価証券報告書において、連結財務諸表の適正性を確保するための特段の取り組みにかかる記載を行っている、(3)指定国際会計基準に関する十分な知識を有する役員または使用人を置いており、指定国際会計基準に基づいて連結財務諸表を適正に作成することができる体制を整備している、である。

 条件にある指定国際会計基準とは「国際会計基準のうち、連結財務諸表規則ガイドライン93に定める手続きを経て、金融庁長官が告示で指定したもの」を指す。現状では09年6月30日までに、IFRSを作成しているIASB(国際会計基準審議会)が公表した国際会計基準を指定国際会計基準としている。解釈指針は「国際財務報告解釈指針委員会(IFRIC)第1号~第18号」と、「解釈指針委員会(SIC)第7号、第10号、第12号、第13号、第15号、第21号、第25号、第27号、第29号、第31号、第32号」が含まれている。

 「いずれかを満たす要件」は、(1)外国の法令に基づき、法令の定める期間ごとに国際会計基準に従って作成した企業内容等に関する開示書類を開示している、(2)外国金融商品市場の規則に基づき、規則の定める期間ごとに国際会計基準に従って作成した企業内容等に関する開示書類を開示している、(3)外国に資本金20億円以上の子会社を有している、である。

 金融庁は内閣府令と同時に、IFRSを任意適用する場合の「提出書類のイメージ」も公開している。日本の会計基準を採用している企業が10年3月期からIFRSを適用する場合、10年3月期分のIFRSに基づいた財務諸表のほかに、前期(09年3月期)分の財政状態計算書(日本の会計基準で「貸借対照表」に相当)、包括利益計算書(同「損益計算書」)、持分変動計算書、キャッシュフロー計算書を用意する。

 加えて前期の期首(08年4月)時点の財政状態計算書や、日本の会計基準からIFRSに組み替えた際の調整表が必要になる。10年3月期には、日本の会計基準に基づいた要約版の財務諸表のほか、IFRSと日本の会計基準との差異の説明文書を添付する。要約版と差異の説明は監査の対象外となる。

 金融庁は今回の内閣府令の草案を、09年6月30日から7月30日まで公開。84件のコメントが寄せられた。金融庁はこれらのコメントについての回答も公開している。