米DISH Network(旧EchoStar Communications)と米TiVoとの特許侵害訴訟で,テキサス州東部地区の連邦地方裁判所は米国時間2009年9月4日,DISHに対して制裁金として約2億ドルの支払いを命じた。

 TiVoによると,地裁はDISHが裁判所の終局的差止命令に違反し続けたと判断。またその違反期間におけるTiVoの裁判費用などをDISHが負担することとした。DISHがこれまで命じられた損害賠償と制裁の合計金額は約4億ドルにのぼる。

 両社の係争は,TiVoが2004年にタイム・ワープ特許を侵害されたとしてEchoStarを提訴したことに始まる(関連記事:米TiVo,「タイム・ワープ」の特許侵害で米EchoStarを提訴)。2006年6月に地裁はタイム・ワープ特許の有効性を認定し,EchoStarがTiVoの知的財産を侵害したとして7390万ドルの損害賠償の支払いを命じた。EchoStarは上訴したが,控訴裁判所は地裁の判決を支持した。

 また2009年6月2日に,DISHが問題とされるデジタル・ビデオ・レコーダ(DVR)に手を加えることで差止命令の回避を試みたとして,地裁が法廷侮辱罪を適用し,1億300万ドルの追加支払いを命じた。DISHはこれを不服としてすぐに上訴し,控訴裁判所での判決が下るまで地裁による命令執行を一時停止することを認められている(関連記事1:DISHとTiVoとの特許訴訟,控訴裁が命令執行の保留申し立てを認める/関連記事2:TiVoのタイム・ワープ特許訴訟,連邦巡回控訴裁がDISHへの命令執行保留を承認)。

 今回Tivoは,係争が続いていた5年以上の期間,DISHが全DVR製品から不当な利益を得ていたとして,約10億ドルの支払いを求めて提訴した(米CNET News.comの報道)。DISHは地裁の判決について,「裁判所がTivoの要求する10億ドルを認めなかったことには満足しているが,当社が支払いを命じられたことには異議がある。しかし,最終的に当社が控訴裁で勝訴すると信じている」とコメントした。一方Tivoは,「今回の判決で,この係争の最終的な判決にさらに近づいたと確信している」との声明を出した。

[発表資料(Tivoのプレス・リリース)]
[発表資料(DISHのプレス・リリース)]