米EMCが米Data Domainに対するTOB(株式公開買い付け)の提示額を引き上げたことを受け,米NetAppは米国時間2009年7月6日,「当社株主への信認義務と厳格な買収戦略に留意しながら買収要件を慎重に考慮する」とのコメントを発表した。

 NetAppとData Domainはもともと,NetAppがData Domainを約15億ドルで買収することで5月に合意していた(関連記事:NetApp,ストレージ・ベンダーのData Domainを15億ドルで買収へ)。しかし,EMCがNetAppの提示額を20%上回る1株30ドルでData DomainにTOBを仕掛けたため,NetAppは買収額を同等の金額に引き上げた。EMCが1株当たり30ドルをすべて現金で支払うとしているのに対し,NetAppは現金16.45ドルと合意条件の交換率に基づいたNetApp株式で支払う(関連記事:NetAppがData Domain買収の提示額を変更,EMCと同じ1株30ドル)。

 Data Domainは,変更後の条件(取引総額は約19億ドル)でNetAppと合意し,同社取締役会もこれを承認した(関連記事:Data Domain取締役会,EMCのTOBを拒否するよう株主に勧告)。ところが,EMCは自社の提案の方が優位だとの主張を続け,7月6日に提示額を1株33.50ドルに変更し,TOBの期限も7月17日に延期した(関連記事:EMC,Data Domain買収の提示額を引き上げ,TOB期限もさらに延ばす)。

 またEMCは,2週間以内に手続きを完了する用意があるとして,「これはNetAppの提案よりもおよそ1カ月早い。当社の提案の方がNetAppより明らかに優れている」と強調した。

 これに対してNetAppは同日,米証券取引委員会(SEC)からData Domain買収計画の承認を受けたと報告。米連邦取引委員会(FTC)による承認は取得済みで,「Data Domain株主の承認を得られれば,適時に手続きが完了する」(NetApp)と述べている。

 Data Domainは8月14日に株主投票を行う予定である。

[発表資料(1)] [発表資料(2)]