データ・バックアップ用ストレージ・ベンダーの米Data Domainは米国時間2009年6月15日,同社に対する米EMCの買収提案について,取締役会の見解を明らかにした。Data Domain取締役会は同社株主に対して,EMCのTOB(株式公開買い付け)に応じないよう勧告する。

 Data Domainを巡って,米NetAppが5月20日に,同社を約15億ドルで買収することで合意したと発表した(関連記事:NetApp,ストレージ・ベンダーのData Domainを15億ドルで買収へ)。ところが6月1日になってEMCが,NetAppの提示額を20%上回る金額でData Domainに買収を申し出たことを明らかにした(関連記事:EMCがData Domain買収を提案,NetAppの提示額を20%上回る)。EMCは,Data Domainの発行済み普通株式のすべてを1株当たり30ドルの現金で買い取る目的で6月2日にTOBを開始した。

 これに対抗してNetAppは6月3日,提示額をEMCと同じ1株30ドルに引き上げた。手続きは現金と株式による交換方式で,取引総額は約19億ドルとなる見通し(関連記事:NetAppがData Domain買収の提示額を変更,EMCと同じ1株30ドル)。NetAppとData Domainは同日のうちに,変更後の条件で合意したことを発表した。Data Domain取締役会は,同社の株主に対して,EMCのTOBに応じるか否かの判断を保留するよう求め,取締役会としての見解を6月16日までに明らかにするとしていた(関連記事:Data Domain,NetAppの提示額変更で買収合意,取締役会も支持)。

 今回のData Domain取締役会の発表を受け,EMC会長兼社長兼CEOのJoe Tucci氏は,「すべて現金による当社の提案の方が,NetAppよりもはるかに優れている」と改めて主張した。「Data Domainの株主がNetAppの買収提案を承認するとは思わない。当社は引き続きTOB成立に向けて注力する」(同氏)。

[発表資料(Data Domainのプレス・リリース)]
[発表資料(EMCのプレス・リリース)]