データ・バックアップ用ストレージ・システムを手がける米Data Domainの買収に米EMCが名乗りを挙げたことを受け,米NetAppは米国時間2009年6月3日,買収の提示額をEMCと同じ1株30ドルに引き上げた。現金と株式による手続きを提案しており,取引総額は約19億となる見通し。

 NetAppは5月20日に,Data Domainを約15億ドルで買収することで両社が最終合意に達したと発表した(関連記事:NetApp,ストレージ・ベンダーのData Domainを15億ドルで買収へ)。しかし6月1日にEMCが,NetAppの提示額を20%上回る金額でData Domainに買収を申し出たことを明らかにした(関連記事:EMCがData Domain買収を提案,NetAppの提示額を20%上回る)。EMCは,Data Domainの発行済み普通株式のすべてを1株当たり30ドルの現金で買い取る意向で,6月2日にTOB(株式公開買い付け)を開始した。

 NetAppはこれに対抗し,今回提示額を変更した。NetApp会長兼CEOのDan Warmenhoven氏は,「Data Domain製品はEMC製品と重複する部分があるのに比べ,当社とは相補的であるため,より総合的な成長を期待できる。顧客にとって選択肢が広がるというだけでなく,早急な買収成立に向けた障害が無いことを意味する」と述べている。

 一方EMCは,すべて現金で支払う同社の提案の方がNetAppの提案よりも価値があると,あらためて強調した。EMC会長兼社長兼CEOのJoe Tucci氏は「当社が進めるオール・キャッシュのTOBは,デュー・デリジェンスなどに伴う面倒な条件がない。Data Domainの取締役会が,株主にとって有利な選択肢となる取引を遅らせる行動をとらないよう要請する」とコメントした。

[発表資料(NetAppのプレス・リリース)]
[発表資料(EMCのプレス・リリース)]