NTTグループのNGN(次世代ネットワーク)商用サービスにて,地上デジタル放送のIP再送信サービスの提供がほぼ確実であることが判明した。テレビ局各社で構成する地上デジタル放送補完再送信審査会(以下審査会)が2007年12月26日付で,NTTグループの映像配信事業にかかわる有線役務利用放送事業者のアイキャストに対して,IP再送信の提供を認める判定書を出したことが明らかになったからだ。

 これまでNTTグループは,今年3月開始予定のNGNにおけるIP再送信サービスは“提供予定”にとどめてきた。アイキャストは,NTTグループのNGNフィールド・トライアルでも,IP再送信実験に協力している(関連記事)。

 通信事業者がIP再送信サービスを提供するには,まず審査会が定めたIP再送信提供のためのガイドラインにシステムを適合させる必要がある(関連記事)。その上で,各テレビ局との間で再送信同意を結ぶ手順を踏む。審査会のガイドラインは2007年10月に正式版が公開されたが,システムが満たすべき技術基準や運用規定などが細かいため,IP再送信実現に向けた最大の関門となっていた。

 今回アイキャストが審査会から判定書を受けた第一号となる。認定期間は2009年12月25日までの2年間。アイキャストは今後,各テレビ局との間で再送信同意を結んでいき,NGNインフラに使ったIP再送信サービスを提供するとみられる。

 NTTグループはNGN商用化に向けてグループ内の映像配信事業の再編を加速している(関連記事)。現在NTTグループの映像配信サービスは,ぷららネットワークスの「4th MEDIA」とNTTコミュニケーションズの「OCNシアター」,オン・デマンド・ティービーの「オン デマンドTV」の3サービスが存在するが,3月1日付でその事業すべてをぷららネットワークスに集約する。3月1日以降も既存3サービスのブランドは継続するが,6月をメドに新サービスに一本化する計画だ。さらに有線役務利用放送事業者として4th MEDIA向けにIP放送サービスを提供しているオンラインティーヴィとオンデマンドTV向けにIP放送サービスを提供しているアイキャストは,アイキャストを存続会社として合併する方向で動き出している。

[関連資料(地上デジタル放送補完再送信審査会事務局のページ)]

■変更履歴
記事中,NTTグループの映像配信サービスが集約されてぷららネットワークスのサービスだけが残るという誤解を招く恐れがある表現がありました。3月1日以降もしばらくの間,3サービスとも継続します。これを明確にするため,本文を修正しました。 [2008/01/17 13:45]