NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は11月9日,NTTグループ内で提供中の複数のテレビ向け映像配信サービスを,ぷららネットワークス内に統合することで関係各社と覚書を締結したと発表した。

 現在NTTグループには,NTTコムが運営する「OCNシアター」とオン・デマンド・ティービーが運営する「オンデマンドTV」,ぷららネットワークスが運営する「4th MEDIA」の3種類の映像配信サービスがある。現時点ではオンデマンドTVの加入者が9月に10万人を超えたのが目を引く程度で,加入者数は低迷している。

 NTTグループとしては,NGN(次世代ネットワーク)をユーザーに分かりやすく訴求するためには,映像配信事業の強化が不可欠と判断。2008年3月のNGN商用化をメドに,既存3サービスをぷららネットワークス内に統合し,新たな体制でサービス提供を目指すとした。新体制の移行に向けて,オン・デマンド・ティービーやぷららネットワークスの株主である伊藤忠商事やスカイパーフェクト・コミュニケーションズと協議を行う。

 なお,オンデマンドTV向けに多チャンネル放送サービスのプラットフォームを提供するアイキャストと,4th MEDIA向けに多チャンネル・プラットフォームを提供するオンラインティーヴィの統合も検討する。なお新サービスのブランドについては「現在協議中で未定」(NTTコム)という。

地デジのIP再送信などメニュー強化も

 新体制移行時にはサービス・メニューの強化も図る。放送局からの再送信同意を得た上で,地上デジタル放送のIP再送信を提供する計画のほか,世帯内で複数契約する場合に料金を割り引くメニューも用意する。現在オンデマンドTVが提供中の,VOD(ビデオ・オンデマンド)を定額プランで見放題となるメニューも引き継ぐ予定だ。

 地上デジタル放送のIP再送信はNGNのインフラを用いて実現する。2008年度は東京・大阪地域に限定して提供。2008年度以降は,NGNインフラの進ちょく状況に合わせて,対象エリアを広げる方針だ。ただNTTコムの和才博美社長は,映像配信向けプラットフォームの初期投資コストとして「東京・大阪の地域だけで数十億円かかる」とし,ニーズを見ながら慎重にエリア展開する方針も示した。なお地上デジタル放送のIP再送信以外の多チャンネル放送やVODサービスについては,NGNだけではなく既存のIP網向けにも提供する方針という。