写真1●日本OSS推進フォーラム代表幹事 桑原洋氏
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写真2●経済産業省 商務情報政策局情報処理振興課課長 鍜治克彦氏
写真2●経済産業省 商務情報政策局情報処理振興課課長 鍜治克彦氏
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写真3●IPA オープンソースソフトウエア・センター センター長 田代秀一氏
写真3●IPA オープンソースソフトウエア・センター センター長 田代秀一氏
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写真4●日本OSS推進フォーラム ステアリング・コミッティ座長 山田伸一氏
写真4●日本OSS推進フォーラム ステアリング・コミッティ座長 山田伸一氏
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 「我々はここ10年にわたってソフトウエアの使用と開発の自由を失ってきた。それを取り戻そうではないか」---日本OSS推進フォーラム代表幹事 桑原洋氏は2月17日,同フォーラムのセミナーでオープンソース・ソフトウエアを推進する意義を訴えた。

 桑原氏は「外部ベンダーのソフトウエアに依存している状況では『こういう機能が必要』と要望してもなかなか実現されない。この10年で中核ソフトウエアに携わる開発者人口は極端に減少した」との現状認識を明らかにし,オープンソース・ソフトウエアによりベンダーは顧客対応の質の向上,開発力の回復,人材の育成強化を図ることができ,内容を知ることができない製品を販売することから生じる自己矛盾から脱却できると話した。

 またユーザーはオープンソース・ソフトウエアでセキュリティを含む安心,選択の自由,経済的効果を得られるとし「発展の鍵を握るのはユーザーの目覚めと要求」と指摘した。

技術開発,国際交流,利用促進,法的課題

 経済産業省 商務情報政策局情報処理振興課課長 鍜治克彦氏は「2003年8月のe-japan戦略IIからOSSは安心・安全な利用環境整備の方策として位置づけられてきた」と同省の施策を振り返った。現在,経済産業省では技術開発,国際交流,利用促進,法的課題の4つの側面からオープンソース・ソフトウエア推進施策を実施している。

 特に法的課題については現在「ソフトウエアの法的保護とイノベーションの促進に関する研究会」(関連記事)で,イノベーションを促進する観点から知的財産権のあり方について検討を進めており,2006年春に最終報告を公表する予定だ。

問題点からのアプローチ

 2006年1月に設置されたオープンソースソフトウエア・センターのセンター長に就任した田代秀一氏は「情報の集約と発信,基盤整備,OSSの普及促進の3つが初年度の活動の3つの柱」と同センターの活動を説明(関連記事)した。

 来年,2006年度の重点テーマとしてはOSDLと共同でオープンソース・ソフトウエア導入事例の収集とデータベース化(関連記事),地方のソフトハウスやオープンソース関連団体との連携,調達担当者やCIO補佐官向けの傾向やイベント実施などを検討している。また問題発生時の情報収集と分析や法的リスクの調査など「問題点からのアプローチも考えている」(田代氏)

3年後にサーバー分野でトップシェアを目指す

 日本OSS推進フォーラム ステアリング・コミッティ座長の山田伸一氏は,「3年後にサーバー分野でトップシェアを目指す」と今後の目標を提示。「ミッション・クリティカル・システム分野への適用を拡大するため,具体的なマイルストーンを設定し取り組んでいく」(同)と意気込みを語った。

 デスクトップ分野では実証実験(関連記事)を通じて実績を作り,ビジネス・モデルの確立や特定のWebブラウザに依存したコンテンツ削減のための取り組みを行っていく方針だ。また人材育成の面では「産官学連携によって高度な技術者を育成していく」(同)との方針を示した。