伝票処理や非対面の営業活動といった業務を外部企業に委託すること。コスト削減を目的とする場合が多い。中国など海外に業務を委託する取り組みが増えている。


 BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)は、いわゆる業務委託全般を指す言葉です。近年は、総務・人事・経理・福利厚生・電話対応といった間接業務の全社的な委託を指して用いるケースが多くなっています。

 2008年秋に発生したリーマン・ショックなどをきっかけに、間接部門の業務プロセスにメスを入れ、無駄を取り除き、コストを削減しようという動きが盛んになっていることが、その背景にあります。

効果:業務コストが半減

 BPOという言葉自体は2000年代前半からあります。電話での販促活動を外部企業に委託した事例なども既に存在していました。

 近年は人件費が安い中国などの海外に業務プロセスを委託するケースが増えており、そのコスト削減効果の大きさが注目されています。

 ヤマト運輸やベネッセコーポレーションといった日本の大企業が伝票処理の委託先として選んだ中国・大連を例に取ると、人件費は日本の4分の1~5分の1といわれます。このため間接業務にかかる費用を、自社で従事していた時の半分程度に抑えられるとしています。

 しかもこうした大企業から受託するBPO事業者の現地拠点は日本語関連のスキル強化に力を入れており、ミスも少ないようです。大連のように日本語能力が高い中国人が多い地域では、日本人による処理と比べて業務品質は遜色ないとする意見もあります。

 ただしBPOを効果的に活用するには、事前に入念な準備が必要です。例えば委託する業務プロセスの標準化を徹底しておくなどです。拠点ごとに処理が異なったり、例外的な処理が多かったりする状態で委託しても、作業ミスが発生しやすく、思うようにコスト削減効果を上げられません。また、作業マニュアルを整備するだけでなく、その内容が委託先の人材に理解しやすいものになっているかどうかを確認することも不可欠です。配置転換となる従業員の説得など、社内調整も重要な課題です。

事例:支払い業務を委託

 花王は年間120万件に上る経費支払い伝票業務などを、中国・大連にある米IBMの拠点に委託しています。2009年6月に運用を開始し、2014年までの5年間で約18億円のコスト削減効果を見込んでいます。

 受託側であるIBMのセンターでは、記載漏れなどの業務上のエラー件数を記録しています。特定の種類の伝票で集中的に間違いが発生したら、伝票の設計そのものを見直すなど、業務改善活動にエラー件数の情報を生かしています。

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