ネットワーク業界で進む仮想化の動きにいち早く対応した米A10ネットワークス(関連記事)。同社の主力製品であるロードバランサー(負荷分散装置)を皮切りに、ファイアウォールなどセキュリティ機能の仮想化を加速している。この10月には富士通ネットワークソリューションズを販売パートナーに加えるなど国内市場のシェア拡大にも取り組む。今後の仮想化やSDN/NFVに向けた戦略をリー・チェン創立者兼CEOに聞いた。

(聞き手は加藤 雅浩=日経コミュニケーション編集長)

米A10ネットワークス 創立者兼CEO リー・チェン氏
米A10ネットワークス 創立者兼CEO リー・チェン氏
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ロードバランサー(負荷分散装置)をはじめネットワーク機能の仮想化に積極的だ。

 最近ではセキュリティ機能の仮想化に力を入れている。例えばSSLインターセプト、WAF(Web Application Firewall)、アクセス認証などだ。

 ネットワーク機能の仮想化は当社に限ったものではなく、業界全体の流れといえる。ただ、当社は一歩先を行くための新たなアーキテクチャーとして「UASG(Unified Application Service Gateway)」を打ち出した。これは当社が7月に発売したロードバランサーの新シリーズ「Thunderシリーズ」に採用したものだ(関連記事:A10ネットワークス、1U大で150Gbpsのハイエンド負荷分散装置を出荷)。

 UASGでは1つのアプライアンスにあらゆる機能を統合する。顧客、特にクラウド事業者からの要望に柔軟かつ即座に応えるためだ。複数のアプライアンスで実現する場合に比べて、UASGならプロビジョニングやトラブルシューティングがしやすくなるし、アプライアンス間の遅延もなくなる。このような「シンプル」と「アジリティー(俊敏性)」の両立を狙った。