iPhoneによる在庫検索システムの導入など、業務におけるモバイル活用で先行するセレクトショップ大手のユナイテッドアローズ。スマホやタブレット活用の現状について、同社 事業支援本部 情報システム部 部長の高田賢二氏に聞いた。

(聞き手は進藤 智則=日経コンピュータ


モバイル端末利用の現況は?

 個人所有のBYOD端末と会社貸与の端末の2種類がある。BYODについては上長への申請・承認があれば許可しており、現在は150人くらいがメールやスケジューラなどを利用している(関連記事)。取締役や管理職には、BCPの観点から米Citrix Systemsの仮想デスクトップ「XenDesktop」を導入した。勤怠など人事系のWebアプリケーションを私物PCから出先で利用できるようにしている。今は一通りのIT施策について、社内での認知や利用のすそ野を広げていくフェーズと認識している。

店頭での在庫検索にiPhoneを導入したが(関連記事)、その後、機能追加などはしているか。

写真1●店頭での在庫検索の様子
写真1●店頭での在庫検索の様子
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写真2●在庫検索アプリの画面
写真2●在庫検索アプリの画面
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 iPhone向けの在庫検索アプリについては、実は導入以後、あまり機能は増やしていない。この在庫検索アプリは、店頭でスタッフがiPhoneに商品コードを入力するとその在庫情報を表示するというものだが(写真1、写真2)、当初は商品コードの手入力だけでなく、スマホのカメラによるバーコード読み取り機能もつけようと思っていた。当社の商品コードは11ケタあり、顧客の前でこれを打つのは大変かもしれないという思いがあった。バーコードにスマホをかざして検索できる方が効率的だろうとの想定があった。

 しかし、運用してみて分かったことだが、我々、情報システム部門の想像以上にスタッフは商品に精通していた。商品コードが11ケタといっても、実際には4ケタ+3ケタ+4ケタといったように、ある程度、意味づけがある値だ。自ブランドの自部門の特定アイテムとなると、上位7ケタについては暗記しているスタッフも多い。シャツは何番とか、コートは何番といったアイテム特有のコードもある。となると、実際に顧客の前で商品を見ながら手入力するのは下4ケタだけだったりする。であれば、わざわざバーコードの読み取り機能の開発に投資しなくとも、現状通り、手入力のままで運用していこうということになった。

在庫検索以外の機能は。

 売上速報や社内向けの電話帳などをiPhone上で閲覧できるようにしている。iPhoneはあくまで店頭スタッフの接客の一ツールであるため、これ以上の機能の拡充は今は特に考えていない。iPhoneについても、顧客から見て私物のスマホではなく業務用のものだと一目で分かるよう、会社のロゴが入った専用のケースを作った。iPadについては、写真付きの商品カタログを見られるようにし、店舗ごとに1~2台配布している。