ビッグデータやソーシャルが重要に
5つめに紹介するのは「2030年 世界はこう変わる」。米国の諮問機関である国家情報会議(NIC)が2030年までのグローバルトレンドをまとめた書だ。(1)大きな4つの構造変化「メガトレンド」、(2)注意すべき6つの傾向「ゲーム・チェンジャー」、(3)メガトレンドとゲームチェンジャーの組み合わせから予測される4つのシナリオ「オルターナティブ・ワールド」─という構成となっている。
ICTについては、(2)ゲーム・チェンジャーの一つ(情報技術)として触れてあり、2030年に世界に影響を与える要素としてデータ処理(ビッグデータ)、ソーシャルネットワーク、スマートシティを挙げている。驚くほど平易に読みやすく作られており、米国の視点が強過ぎるところも散見されるが、読んでおいて損はない。
2030年 世界はこう変わる
米国国家情報会議 編
谷町 真珠 訳
講談社発行
1050円(税込)
- 未来を予測する7冊(Part.1)、2100年の科学ライフ、2052 (日経コミュニケーション,2013年1月30日)
- 未来を予測する7冊(Part.2)、将来ネットワーク技術、2020年の産業 (日経コミュニケーション,2013年1月31日)
記者の個性が面白い予測本
6つめに取り上げるのは「2050年の世界」。英エコノミスト誌の記者が様々な分野について2050年の姿を予測している。予測対象の時期は、前述の「2052」とほぼ同じだが、本書のほうが対象が広い。各章ごとに異なる記者が受け持っており、テーマの選び方や内容が個性に富んでおり面白い。ただ、ICTに関する記述については通り一遍な印象を受けた。
2050年の世界
英『エコノミスト』編集部 著
船橋 洋一 解説
東江 一紀/峯村 利哉 訳
文藝春秋発行
1838円(税込)
- 2050年の世界 (日経コンピュータ,2012年11月9日)
- 未来を予測する7冊(Part.1)、2100年の科学ライフ、2052 (日経コミュニケーション,2013年1月30日)
- 未来を予測する7冊(Part.2)、将来ネットワーク技術、2020年の産業 (日経コミュニケーション,2013年1月31日)
最後に取り上げるのは「100年予測」。地政学を頼りに、100年後の世界の覇権地図を描こうという大胆な予測を試みている。各章にシナリオのまとめがあり、そこだけを見ると荒唐無稽だが、内容を追ってみると納得させられる記述が多い。予測というよりは、今の地政学的な状況を思考実験で理解するのに役立つ書と言えそうだ。
100年予測
ジョージ・フリードマン 著
櫻井 祐子 訳
早川書房発行
1890円(税込)
- 未来を予測する7冊(Part.1)、2100年の科学ライフ、2052 (日経コミュニケーション,2013年1月30日)
- 未来を予測する7冊(Part.2)、将来ネットワーク技術、2020年の産業 (日経コミュニケーション,2013年1月31日)