プラットフォーム分野の注目度ナンバーワンは、今年も「Windows 7」だ。これで2年連続の首位獲得となる。ITpro読者による有効回答2803件のうち、過半数の支持を得て独走状態となった。2位には米Googleの「Chrome OS」がランクイン。上位をOSが独占した。「仮想化」関連のキーワードも、前回の調査に引き続き多くの関心を集めた。

表1●2010年に注目したいプラットフォーム分野のITキーワード
表1●2010年に注目したいプラットフォーム分野のITキーワード(有効回答数=2803)
(有効回答数=2803)
表2●2009年に注目したプラットフォーム分野のITキーワード
表2●2009年に注目したプラットフォーム分野のITキーワード(有効回答数=2803)
(有効回答数=2803)

絶好調な「Windows 7」の滑り出し

 不人気だったWindows Vistaには手を出さず、Windows 7の発売を待ち焦がれたユーザーや企業は、きっと多かったに違いない。マイクロソフトがWindows 7の製品ラインアップと価格を発表した2009年6月26日、Windows 7 Home Premiumのアップグレード版を「7777円」で先行予約販売するキャンペーン(関連記事)を実施したところ、ものの数時間で完売する通販サイトが続出。この先行予約だけで、Vistaの発売後3カ月分の販売数量を超えるほどの人気を示した(関連記事)。

 Windows 7の一般発売は2009年10月だったが、多くの企業や読者自身がパソコンを入れ替えたり、OSをアップグレードしたりしてWindows 7を利用するようになるのは、むしろこれからだろう。2010年の注目キーワードとして首位をキープしたのもうなづける。

 Windows 7は、64ビット・クライアントOS時代への先導役としても注目される。以前からWindows OSの64ビット版は提供されているが、64ビットOSの特徴を生かすためのメモリーの価格が下がり、パソコン・メーカー各社は64ビット版をプリインストールしたモデルを充実させている。今年、64ビット版Windows 7はどれくらい利用されるようになるだろうか。使いこなしやService Packの情報なども含め、まだまだWindows 7から目が離せない。

Googleの型破りな基本ソフト「Chrome OS」が急浮上

 ランキング2位につけたGoogleの「Chrome OS」は、いわばWindows 7へのアンチテーゼだ。同社はChrome OSを、クラウド時代における「OSのあるべき姿を再考する試み」と位置付けている(関連記事)。得票数こそWindows 7の半分だが、2009年7月にGoogleがChrome OSの概要を明らかにして以来、その新しいOSに秘められた可能性について、様々な角度から議論を呼んだのは記憶に新しい。

 2010年後半には、いよいよChrome OSの製品版がネットブックにプリインストールされて登場すると見込まれている。「速く、シンプルで、セキュアで、ほとんどの時間をWebで過ごすユーザーに向けた軽量OS」という基本思想のChrome OSが、実際にどんな使い勝手を見せてくれるのか。今から楽しみである。

「仮想化」のビッグウェーブは2010年も続く

 仮想化技術が注目されるようになって数年しか経たないが、今やすっかりメインストリームの技術と言ってもいいだろう。特にランキング3位の「サーバー仮想化」はそうだ。この技術を抜きにして、ランキング10位の「サーバー統合」や、クラウド・コンピューティングの実現は考えられなくなっている。

 こうした企業のニーズを敏感に捉え、ITベンダー各社のトップによる年頭コメント(関連記事)には「仮想化」あるいは仮想化技術をベースにした「クラウド・コンピューティング」への言及が目立つ。仮想化の導入ノウハウは蓄積が進んでいるため、これまで様子を見ていた企業も取り組みやすくなってきている。2010年は仮想化の普及に大きな弾みがつきそうだ。

 6位の「デスクトップ仮想化」も、前回の調査から引き続き関心が高い。この技術を利用したシンクライアント・システムの導入事例が増えてきたことも、関心を呼ぶ一因となっているのだろう。今は、Windows 7の出荷を待っていた企業がクライアントPCを入れ替える時期に当たる。ここにデスクトップ仮想化のシンクライアントがどれだけ食い込むのか、興味深いところだ。

初登場の「SSD」と「スマートグリッド」

 今回、ランキング初登場の「SSD(Solid State Drive)」は、フラッシュ・メモリーを用いた記憶装置。昨年、SSDの新製品を紹介した記事はどれも好評だった。わずか1年の間に、SSDのスピードや容量が向上し、価格が下がっていく様子を追っていると、わくわくしてくる。

 SSDの用途は、パソコン向けが大多数を占めるが、企業のストレージ・システム向けにも応用が進んでいる(関連記事)。単に処理性能の向上だけでなく、消費電力や設置スペースを大幅に節約できる点も見逃せない。「グリーンIT」(ランキング4位)の観点から、SSDのさらなる技術革新に注目したい。

 「スマートグリッド」もグリーンITに関連したキーワードの1つといえよう。ITを駆使した次世代電力網を指し、「電力需給の自動調整」や「再生可能エネルギーの利用推進」などを目指している(関連記事)。その市場規模が非常に大きいためか、読者の関心は高く、ランキング5位につけている。