ファシリテーション・テクニックを極める当研究所。現場で培ってきた数々のテクニックやノウハウの中から、即効性があるツールを紹介しています。第21回と第22回は、「タイムアウトルール」です。前回はタイムアウトの効果と必要とされる状況について紹介しました。今回はタイムアウトの取り方について深掘りしていきます。
ルールを明示し意義とともに意識付けを図る
まずはチームで効果的にタイムアウトを取る方法を考えていきましょう。会議や、あるいは何人かが集まって会話を交わしているといった状況で、どうタイムアウトを取るか。これは簡単です。「タイムアウトを取るとといいな」と気付いた人がタイムアウトを求めればよいのです。
しかし、いくらタイミングよくタイムアウトを求めても、相手がタイムアウトを理解していないと、なかなか機能しません。「面倒臭いこと言わずに議論を続けようよ」と流されてしまうのが関の山です。ではどうすればいいでしょうか。
一つは、チーム全体にルールを明示し、意義を説明することで、意識付けすることです。これは簡単な方法です。第15回と第16回のグラウンドルールについて話ししたとおり、ルールを設定することで個人からの指摘がチームからの指摘になる効果もあります。
では、個人の作業におけるタイムアウトはどうでしょう。極論すれば「自分で気を付けておけばいいんでしょ」という類の話です。でも、まあそう言わずに、個人の仕事のやり方としてもルールを設定し、チームで共有してほしいと思います。周囲に宣言すると、次のようなメリットがあります。
・できていないときに指摘してもらえる
・守らない訳にもいかないので気が引き締まる
チームに対するルール、個人に対するルール、いずれにしても分かりやすい方法は、グラウンドルールに入れてしまうことです。プロジェクトを始めるとき、もしくは仕事のやり方にちょっとてこ入れが必要と感じたときにグラウンドルールに設定しましょう。この後、過去の連載との関係を何度か指摘します。本件急所で紹介している内容はすべて有機的につながっているというわけです。
チームとしてのタイムアウトルール
では、ここからはタイムアウトを有効に活用するためのルールについて説明します。まずはチームに対するタイムアウトルールです。タイムアウトで難しいのはタイミングです。そのため「こういうタイミングで」といったルールを作ります。パターンは以下の通りです。
●一定時間続いたらタイムアウト
「何かが一定時間続いたらタイムアウトを取ろう」というルールです。同じ内容の議論が続いたら、同じ人同士の議論が続いたらなど、何が続いたらタイムアウトを取るかを明示します。
さらに明示する必要があるのが時間です。「10分経ったら」「1時間経ったら」と、適切な時間を設定します。本連載で度々登場してきた「20分ルール」もこれに当たります。20分という数字に何か根拠があるわけではありません。経験則的に色々なものに適用できる、いい具合の時間だと思います。