Take1:
Microsoftとの交渉再開を望むYahoo!株主

 米Yahoo!の株式を170万株持っている米Mithras Capitalのパートナ,Mark Nelson氏は,米Microsoftにある要求した。先ごろYahoo!に提案した件を,改めて直接Yahoo!の株主に問いかけるよう依頼したのだ。同氏によると,Yahoo!の役員会は株主に意見を聞くことなく行動しており,Microsoftから新たに出された提案(検索事業の買収と残る事業に対する投資)の交渉を打ち切ったYahoo!の決断は誤りだという(関連記事:MSとの交渉を打ち切ったYahoo!が抱える問題)。

 Yahoo!役員会の商才を疑っているのは,同氏だけでない。例えば,億万長者の投資家Carl Icahn氏は,Yahoo!の現取締役を退陣させるための委任状争奪戦を準備中だ。さらに,Yahoo!は複数の株主から提訴されている(関連記事:投資家Icahn氏,Yahoo!に対する委任状争奪戦を正式に表明)。

 こうした状況がどのような結果をもたらすか,今のところわからない。

Take2: 止まらない上級幹部流出で組織再編が進むYahoo!

 Yahoo!を取り巻く環境がこれ以上悪化することなどない,と考えてしまうといけないので,ある状況について書いておこう。Yahoo!が先日Microsoftの提案を拒否したところ,拒否派以外の上級幹部が大量に退社し始めたのだ(関連記事:元Yahoo!幹部,ロシア検索プロバイダの米国研究所責任者に就任へYahoo!のオープン戦略提唱者Zawodny氏も退社,「craigslist」へ移籍)。

 現在Yahoo!は組織再編の発表を準備しているが,各部門の責任者を任せられる人材が残っているかどうか怪しい。「Yahoo!が内部崩壊する」という意見に対し,同社は「経験豊富で優秀な経営陣が変わらず存在する」と反論した。悪いけれど,現時点では「経験豊富」とも「優秀」とも思えない。

Take3: Microsoftのユニークな求人広告

 筆者は,ことあるごとに「Microsoftは10年前に米国で独占禁止法(独禁法)違反判決を下されてから攻撃的でなくなった」との見解を表明してきた。ところが,同社のこうした姿勢が変わるかもしれない。

 同社は2008年6月第3週,明らかにYahoo!からの転職を検討している技術者狙いの全面広告を米San Jose Mercury News紙に掲載した。広告には「Microsoftはシリコンバレーで人材を探しています」とあった。「検索/オンライン広告分野の将来は,今や一握りの企業が左右する状況になりました。当社は,そうした企業の1社です」(Microsoftの広告)

 広告にYahoo!という社名は出していないが,そもそも社名を出す必要などない。Yahoo!が最大のライバルである米Googleに検索事業を外部委託する契約を結び,魂を売ってしまったことは,誰だって知っている(関連記事:Yahoo!がGoogleのオンライン広告を採用へ,非排他的提携で合意)。

 「検索/オンライン広告分野の将来を実現できる人材,技術的知識,研究開発体制,協力企業,競争心を持つ企業にいらして下さい」(Microsoftの広告)。全くその通りだ。