日本ミルクコミュニティは、富士通を介して基幹系システムの開発の一部を中国ベンダーに委託している。「優秀な技術者を最適なコストで確保する」(本橋英一執行役員システム企画部長)のが狙いだ。

 委託先は、大連遠東計算機系統、杭州東忠軟件、中訊申軟計算機技術(上海)、上海坦思計算機系統、富士通(西安)系統工程だ。2007年4月に刷新した基幹系システムの開発で、この5社を使った。

 委託に際しては、現地ベンダーの技術者のITスキルや日本語能力、開発拠点のセキュリティなどを確認。問題がないことを確認してから、実装工程を中心に、試行的に作業を任せた。結果は「想像よりも品質が高く満足できた」(本橋執行役員)。

A3判20枚以上の監査表を自作

 そこで、2007年春からの2次開発では、委託する作業の範囲を拡大。中国ベンダーの現地責任者を日本に呼び寄せて、要件定義から参加してもらうことに決めた。同時に、前回よりも厳しい監査を改めて実施することにした。

 本橋執行役員が自ら、内部統制、品質管理、セキュリティなど、独自の視点に基づくオリジナルの監査表を作成。実際に現地を訪れ、A3判で20枚以上に及ぶ項目に従って、ヒアリングをかけた。回答結果と実際の成果物を比較して、本格的に仕事を任せても問題ないかどうかを、さらに高いレベルで確認するのが目的だ。

 グローバル・ソーシングのメリットを得るには、「他人任せにせず、自らの眼で現地の拠点をチェックする姿勢が欠かせない」(本橋執行役員)。日本ミルクコミュニティは、グローバル・ソーシングのリスクをコントロールしながら、今後も中国ベンダーを活用していく考えだ。



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