写真1●アフラック日本社でIT部門を率いる福島行男執行役員 [画像のクリックで拡大表示] |
アフラック日本社でIT部門を率いる福島行男 執行役員はこう明かす(写真1)。それでも、「このままではIT部門はダメになり、企業の競争力が低下するという強い危機感があったからこそ、実現できた」と、福島執行役員は振り返る。
アフラック日本社は、国内ベンダー55社に委託していたアプリケーションの保守業務のうち、その約8割を日本IBM、アクセンチュア、NTTデータの3社に切り替えた。3社が大連と北京に構える拠点で、中国人技術者にアプリケーションの保守を担当してもらうことにしたのだ。これにより、2007年に確保したシステム開発のためのリソースは8400人月と、委託前の2005年に比べて2倍に増やすことができた。
国内要員は新規開発に回す
福島執行役員は保守を中国に移管した理由について、「国内の保守要員を新規開発に回すため」と語る。2006年の時点でアフラック日本社のIT部門は、法改正や制度変更などに対応するため、2100万ステップに及ぶアプリケーションの日々の保守に追われていた。国内ベンダーは人手不足で増員が難しく、企画部門などの新規開発ニーズに応え切れなかった。
2006年1月に日本IBMからアフラック日本社に転じた福島執行役員は、「銀行窓販や郵政民営化など、業界の変化に迅速に対応するには、抜本的なIT部門の変革が必要だ」と考え、保守を海外にシフトする覚悟を決めた。
2008年1月時点で、アフラック日本社は3社を通じて、合計360人の中国人技術者を現地に確保している。その結果、「人手不足を理由に新規案件を断ることはなくなった」と福島執行役員は満足げだ。
中国人技術者の日本語能力を評価
写真2●中国・大連にあるアクセンチュアのサービス拠点 [画像のクリックで拡大表示] |
ただし、委託先が増えると管理の負担が重くなる。そこで、先行していたアクセンチュアとの契約内容や手続きを標準と定め、日本IBMやNTTデータにも受け入れてもらった。各社と結ぶ「アプリケーション・マネジメント・サービス(AMS)」の契約も、アクセンチュアとの契約内容にそろえてもらった。
サービス拠点に中国を選んだのは、「現地技術者の日本語能力を評価したから」(福島執行役員)。仕様書は国内ベンダーと同様に日本語で書いてもらっている。アフラックは米国に本社を構えるが、事業規模は日本が米国を上回ることなどから、保守の中国シフトなどのIT戦略は、日本社が独自に打ち出している。
<過去に掲載したグローバル・ソーシング関連特集>
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