総務省の最新の調査で,FTTH(fiber to the home)の9月末時点の契約数が715万4550だったことが判明した(関連記事1)。6月末時点に比べると3カ月(1四半期)で約85万の純増である。これで8期連続の増加となり,2期連続の純減となったDSLに代わって,ブロードバンド全体のけん引役になった。

 ここまで来ると,FTTHも1000万の大台が見えてくる。2007年中の突破はほぼ確実だ。ではそれはいつか。

 まずは単純に,直近の伸びが続くものとして大雑把に計算すると,2006年12月末が800万,2007年3月末が885万,そして2007年6月末に970万となる。つまり,今から半年後が一つの目安となりそうだ。

 次に,1000万突破の時期が前倒しになる加速要因はあるだろうか。一つ挙げると,東京電力のFTTH事業を統合したKDDIの存在である。「首都圏の提供エリアにおける30%のシェア獲得」を目標に,2007年1月1日から自前の施設でFTTHサービスを本格展開する。現在のFTTH市場はBフレッツを提供するNTT東西地域会社が6割強のシェアを握り,2006年6月末まで3期連続でシェアを伸ばしている「独走状態」。ここにKDDIが新生ひかりoneを引っさげて勝負を挑む形になり,久々にサービス競争が活性化する期待が大きい。実際,KDDIが11月末に高速電力線(PLC)モデムによる宅内ネットワーク・サービスを発表すれば(関連記事2),NTT東日本も12月にPLCモデムをBフレッツ・ユーザーに優待販売する(関連記事3)といった形で,真っ向勝負が既に始まっている。

 一方,1000万突破が2007年後半にずれ込む減速要因は今のところ見えない。ただ,ここ3期の純増数の推移を見てみると,82万(1-3月),84万8000(4-6月),そして直近の7-9月が84万9000と“安定成長”になっている。推測の域はでないが,敷設工事がボトルネックになった可能性がある。純増数の再加速につながる要因として,自前の設備で展開するKDDIの存在は大きいといえる。