KDDI ブロードバンド・コンシューマー事業本部長事業部長の牧俊夫執行役員
KDDI ブロードバンド・コンシューマー事業本部長事業部長の牧俊夫執行役員
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無線LAN,PLC,同軸の位置付け
無線LAN,PLC,同軸の位置付け
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KDDIが実施したPLCモデムと掃除機の共存デモ
KDDIが実施したPLCモデムと掃除機の共存デモ
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 KDDIは28日,宅内配線にPLC/同軸モデムを採用すると発表した(関連記事)。同社ではPLCなどを採用した理由を「宅内の配線が面倒というFTTHユーザーの声に応えるため」(ブロードバンド・コンシューマー事業本部長の牧俊夫執行役員,写真上)と説明する。「2007年1月に統合する東京電力のFTTH事業と合わせた55万ユーザーのうち,6~7割を戸建て契約が占める」(ブロードバンド・コンシューマー商品企画本部長の野坂章雄執行役員)ため,まずは戸建て向けサービスの「ひかりoneホーム」からPLCなどの採用を開始する。サポート・サービスの「おまかせアドバイザー」や「かけつけ設定サポート」と合わせ,FTTHサービスの導入を容易にすることで既存ユーザーの囲い込みを図る。ただし,新規ユーザーの獲得効果については「明かせない」と明言を避けた。

 KDDIでは先着500ユーザーにPLCモデムを市場価格より安価に販売する。500ユーザー到達後は実売2万円前後の通常価格で販売を継続する予定だが,「ユーザーの反応によってはキャンペーンの継続も検討する」(野坂執行役員)。KDDIによるレンタル提供は行わない。これは,同仕様のモデムをアイ・オー・データ機器や松下電器産業などが店頭販売することに配慮したため。

 また,ADSLサービス「メタルプラス」のユーザー向けへのサービス提供については,「ひかりoneホームで成功を収めれば,ADSLサービスのユーザーにもPLCモデムと同軸モデムによる宅内ネット・サービスを展開する」(野坂執行役員)計画もある。

ひかりoneTV向け同軸モデムは自社開発
 今回,宅内ネット構築用のサービス品目にPLCと同軸が加わったことで,無線LANと合わせて3本立て体制となった。3方式の位置付けは,無線LANはマンション向け,PLCモデムと同軸モデムは階をまたいだ通信が発生する戸建て向け(写真中)となる。また,PLCモデムは設置個所の多いコンセントを使用できる利便性,同軸モデムは実効速度90Mビット/秒(UDP通信時)の安定的な通信を特徴とする。
 同社が採用するPLCモデムはアイ・オー・データ機器の市販品だが,同軸モデムは自社開発にこだわった。その目的はIPマルチキャストによる映像配信サービス「ひかりoneTV」の宅内配信機能の強化にある。ToSビットによるQoS(帯域制御)を実装し,「網から同軸モデムまでのQoSとIPマルチキャストを実現した」(牧執行役員)。

 同軸モデムで利用する搬送波の周波数は2M~21MHzで,空間波やケーブルによるTV放送の周波数とは競合しないという。ただし各ユーザー宅からCATV局舎へノイズが集まる「流合雑音」の発生源となるため,CATVユーザーはサービス対象外とする。

ドライヤーと掃除機を同時に使っても安定伝送
 PLCモデムは多くの家電が共存する電力線を使うため,通信の安定性が懸念される。KDDIは,ドライヤーと掃除機を稼働させたデモ環境でPLCモデムによる映像伝送を実施し,支障がない点をアピールした(写真下)。