マイクロソフトが11月30日に発売する「the 2007 Microsoft Office system」は,MS Officeにとって10年振りと言ってもよい,様々な点がこれまでと異なる新製品だ。変更点は,ユーザー・インターフェース(UI),文書形式,全く新しい製品ラインアップ,新しいサーバー・ソフトなど,枚挙にいとまがない。Office 2007の全貌を,ここに紹介する。



UI編---膨大な機能をより使いやすく
 マイクロソフトOffice製品マーケティンググループの田中道明マネージャは「Office 2007では,過去10年のOfficeで最大の変化がある」と強調する。Office 2007では,増えすぎた機能を使いやすくするために「結果指向のユーザー・インターフェース」を採用した。結果指向UIとは「ユーザーが使い方を学習しなくても,どういう結果が得られるか一目で分かるUI」(田中氏)であるという。結果指向のUIを,画面を交えて説明しよう。

Word編---定型作業が簡略化
 Word 2007には,「クイックパーツ」「表ツール」「最終処理」「ブログへの投稿機能」といった仕組みが追加されている。これらは,Wordで文書を作る作業を簡略化したり,情報セキュリティを保護したりするのに役に立つ機能だ。

Excel編---「行×列」が1024倍に
 Excel 2007における最大の機能強化点は,最大列数が従来の256列から1万6384列に,最大行数が従来の6万5536行から104万8576行に増え,行×列のセル数が従来の1024倍になったことだ。Excel 2007は,非常に有力な「データ分析ツール」になったといえるだろう。

PowerPoint編---高品質なプレゼン資料が簡単に
 PowerPoint 2007は,Office 2007におけるユーザー・インターフェース変更のメリットを最も実感できるアプリケーションである。例えば箇条書きテキストから簡単にフローチャートやピラミッド図などを作成できる「SmartArtグラフィック」(写真1)。これは,WordやExcelにも搭載された新機能だが,利用頻度はPowerPointが最も高くなるだろう。

IME編---予測入力機能などを追加
 IME 2007における機能改善点は,(1)くだけた言い回しでの誤変換を減らしたり細切れ入力での変換精度向上を実現する新しい変換エンジン「Trigram/SLM(Statistical Language Model)」の採用,(2)Outlookの連絡先と連携して人名の変換候補を連絡先から引いてくる「拡張辞書」の搭載,(3)過去に何回か入力した文字列を再度入力する際に,入力の途中でその入力結果を予測して候補を挙げる「予測入力」機能の搭載---などだ。

SharePoint編---企業情報ポータルが「コラボレーション・ポータル」に進化
 SharePoint Serverの位置付けは,従来の「企業情報ポータル(EIP)ソフト」から,「コラボレーション・ポータル」に変わる。情報を共有するだけでなく,ワークフロー管理などの業務を行う「場」に進化するというのだ。

Groove編---「Notesの父」が作ったP2P型グループウエア
 Grooveは,米Microsoftが2005年に買収したGroove Networksの製品である。Grooveを開発したのは,「Lotus Notes」の開発者としても知られるRay Ozzie氏である。そしてRay Ozzie氏は今年6月,Bill Gates氏の後継者として,MicrosoftのChief Software Architectに就任した。Notesの父であり,Gates氏の後継者であるOzzie氏が作ったP2P型グループウエアの全貌を紹介しよう。

Exchange/Outlook編---予定の調整が便利に
 「Exchange Server 2007」と,そのクライアント・ソフトである「Outlook 2007」を使うと,グループ間の予定の調整などが非常に容易になる。ユーザー・インターフェース(UI)に大きな変化はないが,実用度は大きく向上している。