ストレージベンダーの米ネットアップが、フラッシュメモリーを活用するための製品やクラウドサービスと連携する製品を矢継ぎ早に投入している。プロダクト&ソリューションズマーケティング担当バイスプレジデントのブレンドン・ハウ(Brendon Howe)氏に、ストレージ技術の動向と同社の戦略を聞いた。

(聞き手は干場一彦=コンピュータ・ネットワーク局編集委員)


クラウドコンピューティング、ビッグデータ、メモリーのうち、ストレージに最も大きな影響を与えている技術はどれか?

米ネットアップのブレンドン・ハウ氏(プロダクト&ソリューションズマーケティング担当バイスプレジデント)
米ネットアップのブレンドン・ハウ氏(プロダクト&ソリューションズマーケティング担当バイスプレジデント)

 それぞれはまったく違う技術で、すべてがあいまった形でいろいろな影響を与えている。特にフラッシュメモリーはストレージだけでなく、システム設計に影響を与えるイノベーションだ。サーバー、ネットワーク、ストレージをまたいだ形でフラッシュメモリーを活用することによって、アーキテクチャーが変わる。

 ストレージモデルも変化する。現状では、データベース管理システム用のストレージに、高価で高性能な製品を利用している。新しいストレージモデルでは、データベース管理システムでよく利用するデータを、サーバーの中のフラッシュメモリーストレージに保管するとともに、永続的なデータを簡素化・最適化されたバックエンドのストレージに保管する。

技術革新に対するネットアップの戦略は?

 フラッシュメモリーは、さまざまなユースケースでメリットがある。ハイエンドのデータベース管理システムでは、サーバー側に搭載するフラッシュメモリーストレージを活用するユーザーもいるし、フラッシュメモリーアレイを活用するユーザーもいるだろう。単一の製品ですべてのユーザーをカバーできるとは考えていない。

 当社は、2012年8月にサーバー側に搭載したフラッシュメモリーストレージを利用するためのソフトウエア「NetApp Flash Accel」を提供し、外部ストレージとサーバー側に搭載したフラッシュメモリーストレージをリンクさせる初めてストレージモデルを実現した。それに加えて、ユースケースに合わせた別のアプローチの製品も用意していく。

ストレージ業界では、フラッシュメモリーとハードディスクを組み合わせて自動階層化を実現するストレージ製品や、フラッシュメモリーだけで構成するストレージ製品の提供が盛んだ。将来、どれが主流になるか?

 その二つは排他的ではなく、両方を選択することは可能だ。選択するのはユーザーだ。すべてのデータをフラッシュメモリーだけで構成したストレージ上に置けば最高の性能が発揮できるがコストも高くなる。そのため、フラッシュメモリーと低価格のハードディスクの両方を混在させて利用するアプローチも必要だ。その技術の一つが自動階層化である。

 当社は、フラッシュメモリーとハードディスクを統合するストレージの技術を「バーチャルストレージティア(VST)」という名称で提供している。自動階層化ではなく、「仮想的な階層化(VST)」と呼ぶのは、単なる階層化ではなくて、加速化を行う技術であると捉えることができるためだ。

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