いつでもどこでも仕事ができるワークスタイル改革が浸透すると、自ずと従業員同士や上司との対話が少なくなっていく。それに伴って高まるリスクが、コミュニケーションの欠乏だ。仕事の効率を高めるはずが、組織の一体感や従業員同士の連携を阻害してしまっては本末転倒である。この問題を避けるには、いつでもどこでもコミュニケーションできる仕組み作りが欠かせない。
スマホから会議に参加
最も対面に近い形でコミュニケーションをとることができるのは、Web会議システムだ。東日本大震災以降、災害対策の一環としてWeb会議システムのニーズが高まったこともあり、製品・サービスの機能強化が相次いだ。ワークスタイル改革の観点で注目したいのが、スマホやタブレット端末向けの機能強化だ。
NTTアイティは2012年3月に、同社のWeb会議サービス「ミーティングプラザ」にアクセス可能なAndroid用アプリ「ミーティングプラザ モバイル」の提供を開始した。ブイキューブもすでに、iPhoneやiPad、Android端末で動作するWeb会議クライアント「V-CUBE モバイル」を提供済みである。
従来のWeb会議システムでは、小型カメラを別途用意する必要があった。PCからの利用が前提なので、外出先などで手軽に会議に参加できない課題もあった。一方、スマホやタブレット端末にはカメラが最初から備わっている。小型で携帯しやすいため、これまでよりも手軽にWeb会議を利用できるメリットもある。
スマホやタブレット端末への対応とは別に、もう一つ大きな動きがある。異なるベンダー同士が、会議システムの相互接続を始めたことだ(図9)。例えば、出向先や客先が自社と異なるベンダーの会議システムを使っていても、自社の会議システムと接続してプロジェクトの進め方などの会議を開催できるようになる。
相互接続に積極的なのが、テレビ会議システムの最大手である米ポリコムだ。2012年4月には、米マイクロソフトと提携することを発表。テレビ会議システムと、日本マイクロソフトのコミュニケーションソフト「Microsoft Lync」とを相互接続する。Lyncはチャット機能やプレゼンス管理機能、ネットカメラを使った会議機能などを備えたソフトウエアである。
すでにブイキューブとも2011年11月に、会議システムの相互接続を可能にしている。会議室などに据え置かれているポリコム製テレビ会議システムに、ブイキューブのスマホアプリからアクセスできる。